気候変動で植物が巨大化、水不足の原因に

CO2濃度と気温上昇で植物の水消費が増。人が多く住む中緯度地域で水不足の懸念

2019.11.07
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気候変動の原因と影響
どうして気候変動が起こるのか。その影響を考えてみよう。(解説は英語です)

残念なニュース

「CO2濃度の上昇が植物に影響を及ぼすことで、淡水がより多く利用できる可能性があるとの説がかつてはありました」。こう話すのは、地球の水問題を扱う米パシフィック研究所の元所長で、同分野の世界的な権威であるピーター・グリック氏は言う。

「林冠を含むバイオマス全体を、より正確にモデリングすれば、よりはっきりと"残念な結論"が出ることでしょう。CO2濃度の上昇と関連する気候変動は、水の利用可能性を改善するのではなく、悪化させるからです」

 この結果は、「米国西部にとっては、ほぼ確実に悪いニュース」だと、グリック氏は付け加えた。

 これまで、気候に関する研究では、CO2排出量が現在のまま変わらなければ、米南西部とグレートプレーンズ中央部は、2100年までに80パーセントの確率で35年以上の「大干ばつ」に見舞われるとされてきた。CO2排出量を多少減らしたくらいでは、このリスクが60パーセントまで減少するだけだ。ちなみに、この大干ばつモデルには、今回の研究で示された、植物の変化が条件を悪化させるというデータは含まれていないと、グリック氏は指摘する。

 大気中のCO2濃度はすでに上昇しており、気候は温暖化に向かいつつある。衛星写真からは、過去40年間で植物が大幅に増えていることが見て取れると、マンキン氏は言う。植物の成長シーズンも長くなっているが、こうした近年における植物増加が、気候変動だけによるものなのかどうかは判然としない。なぜなら過去100年間で人間が地表にもたらした変化は、あまりにも多岐にわたるからだ。(参考記事:「人為的な気候変動「ある」が急増、米意識調査」

上昇を続けるCO2濃度

 少なくとも過去80万年の間、大気中のCO2濃度は180〜290ppmの間で変動していた。過去1万年間は280ppm前後で推移していたが、変化のきっかけとなったのは、産業革命で石炭の使用が爆発的に増加したことだ。

 2019年9月のCO2濃度は412ppmで、産業革命前よりも47パーセント高い。これ以前にCO2濃度が400ppmを超えたのは2500〜1600万年前のことで、そのころは地球も、その気候も今とはまるで違っていた。(参考記事:「島のネズミが絶滅、原因は気候変動、哺乳類で初」

 CO2濃度は毎年2ppmずつ上昇している。石炭、ガス、石油をこのまま使い続ければ、中緯度地域の干ばつの進行はより速く、より長く、より深刻になるだろう。

 水不足はすでに重大な社会課題となっており、2016年の研究によると、40億もの人が1年に1カ月は深刻な水不足に苦しめられているという。水の供給量が将来的に少しでも減るというのは、極めて残念なニュースだ。米国のように経済的に豊かな国でさえ、デトロイトから南西部に至るまで、水不足に悩まされている人々が存在するのが現状だと、マンキン氏は言う。

文=STEPHEN LEAHY/訳=北村京子

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