地球深部で起きる炭素循環を解明、驚きの事実

10年にわたる「深部炭素観測」プロジェクトでわかったこと

2019.10.29
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薄明かりの中、噴煙を上げるエクアドルのトゥングラワ火山。火山噴火は、地球が内部に蓄えた炭素を表面に戻す方法の1つだ。(PHOTOGRAPH BY MIKE THEISS, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 大人である私は、常に12kg強の炭素を持ち歩いている。皆さんもほぼ同じだ。人体の約18%が炭素原子からできているからである。

 こうした炭素原子は、私たちが食べ物として取り込む前、空気や海、岩石、そして別の生物の体の中にあった。炭素はあらゆる生命に欠かせない。だから、実は地球に存在する炭素の90%以上が地中にあると言ったら、意外に思われるかもしれない。

 さらに驚くべきことに、地中にも微生物が繁栄していて、それらがもつ炭素の質量の合計は、77億人の人類がもつ炭素質量の合計の400倍に上ることがわかっている。地球最大級の生態系が地下深くにあるという発見は、55カ国、1200人の研究者が10年にわたって地球内部の機構を調べた「深部炭素観測」(Deep Carbon Observatory:DCO)プロジェクトから得られた多くの知見の1つだ。(参考記事:「巨大結晶の中に5万年、未知の休眠微生物を発見」

 DCOは、プロジェクトの締めくくりとして10月24日から26日にかけて米ワシントンDCで会合を開き、世界中から数百人の科学者が参加して研究成果を共有した。

「私たちは今や、地球の生物圏と岩石圏が1つに統合された複雑な系であること、そして、炭素がその鍵を握っていることを知っています」とDCOの事務局長を務める米カーネギー研究所のロバート・ヘイゼン氏はインタビューで語った。「これは、地球についてのまったく新しい考え方です」

 この10年間に、DCOは268のプロジェクトを立ち上げ、その研究から1400本の査読付き論文が生まれた。以下では、地球深部に関するDCOの驚くべき発見の中から、いくつかを選りすぐって紹介する。(参考記事:「光合成する微生物を地下深くで発見、定説覆す」

1. 地中と地上の炭素循環

 植物や動物に由来する炭素は、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むプロセスにより、数億年の歳月をかけて地中深くに潜ってゆく。その証拠に、かつて生物の一部だった炭素が、地下410〜660kmで形成されたダイヤモンドの中から見つかっている。地中に取り込まれた炭素は、長い時間がたてば、ダイヤモンドや岩石、火山ガス中の二酸化炭素となって、再び地表に戻ってくるのだ。

次ページ:炭素を隔離する「強力」な仕組みも

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