世界一鳴き声が大きな鳥、求愛にはうるさすぎ?

ロックコンサート並みの大音量、アマゾンにすむスズドリのオス

2019.10.26
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
[音声のみ]愛を叫ぶスズドリのオス。口から伸びる黒い肉垂(にくすい)も求愛の役に立っている。求愛の歌には短い鳴き声(タイプ1:0:08)と、より大きくて珍しい、2つの音からなる鳴き声(タイプ2:0:17)の2種類があり、時にはロックコンサートよりうるさい音になる。(PHOTOGRAPH AND AUDIO BY ANSELMO D'AFFONSECA)

 アマゾンの熱帯雨林は騒々しい。ジャングルの動物たちが、自分の声を届かせようと叫ぶため、いつでも不協和音に満ちている。そうした騒音の中、オスのスズドリ(Procnias albus)は必勝戦略を編み出した。世界一大きな声で鳴く鳥になればいいのだ。

 象牙のように白いスズドリは、ブラジル北部の山地の森林で、ひときわ高くそびえる枯れ木のてっぺんに止まり、口を大きく開けて、ぞっとするほど耳障りな甲高い声で鳴く。(参考記事:「怖すぎる 夜の鳴き声のクセがすごい動物たち」

「地球のものとは思えません」と米マサチューセッツ大学アマースト校の生物学者ジェフ・ポドス氏は言う。スズドリの鳴き声を調査した氏らの論文は、2019年10月21日付けで学術誌「Current Biology」に発表された。(参考記事:「新種の霊長類を発見、決め手は奇抜な鳴き声」

 これまで世界一大きな声をもつとされた鳴き鳥は、同じくアマゾンに生息する同じ科のムジカザリドリ(Lipaugus vociferans)だった。だが論文によると、スズドリの鳴き声は、ムジカザリドリよりも9デシベル以上大きく、125デシベルに達するという。これは、ロックコンサートでスピーカーの隣にいるときの音量だ。ちなみに、普通の人間の声は約60デシベルである。

 それよりも科学者が驚くのは、スズドリのオスが、自分に関心を示すメスの目の前で大声を浴びせかけたことだ、と米コーネル大学鳥類学研究所で生物音響学の上級研究員を務めるラス・チャリフ氏は説明する。氏は今回の研究には参加していない。

 チャリフ氏は、オスはメスに印象づけるために、声が大きくなるように進化してきたのかもしれないと考えている。「おそらくメスは、鳴き声の大きさでオスを品定めし、より大きく鳴くオスを好むのでしょう」と氏はメールに書いている。(参考記事:「【動画】声で恋敵を特定、争い回避、ゾウアザラシ」

「これは立派な研究だと思います。綿密に実施され、しっかりした結果を出しています」とチャリフ氏は評価する。野生動物の鳴き声を録音するのは、非常に難しいからだという。今回の研究は、重要な知見を性選択の研究に与え、動物たちがパートナーを得るためにどれほど極端な手段を使うかを教えてくれる。(参考記事:「2018年を「鳥の年」宣言、鳥はなぜ大切なのか?」

次ページ:ボリュームを上げるには

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    記事が全て読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

PHOTO ARK 鳥の箱舟

絶滅から動物を守る撮影プロジェクト

色も姿も多様な鳥たちの写真約350枚、280種以上を収録。世界各地の珍しい鳥、美しい鳥、変わった鳥など、まだまだ知られていない鳥を紹介します。 ※バッジ付きは、日経BP SHOP限定です。

定価:本体2,600円+税

おすすめ関連書籍

2018年1月号

鳥ははぜ大切なのか?/羽ばたきの軌跡/耕す人/コロンビアの平和/精霊が宿るシルクロードを行く/幼い難民たち

2018年は「鳥」をテーマにさまざまな特集をお届けします!1月号では「鳥はなぜ大切なのか?」、シリーズ『人類の旅路を歩く』の6回目「精霊が宿るシルクロードを行く」など特集6本を掲載!

定価:本体935円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加