最高峰の野生生物写真コンテスト、驚く受賞作15点

英ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー2019

2019.10.17
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チベットスナギツネがマーモットに襲いかかる直前の瞬間を、中国の写真家バオ・ヨンチン氏がとらえた。「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」で大賞に輝いた一枚。(PHOTOGRAPH BY YONGQING BAO, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)

 恐怖で凍りついたかのようなマーモット。一方には、飛びかかろうと身構えるキツネ。混乱と衝撃が伝わってくる、時間を止めたかのような一枚だ。

 10月15日、ロンドン自然史博物館が選ぶ「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の大賞を、中国の写真家バオ・ヨンチン氏が手にした。

「その瞬間」と題した写真を、バオ氏は中国、チベット高原の牧草地で撮影した。海抜およそ4500メートルの高原は「世界の屋根」とも呼ばれる。審査委員長のロズ・キッドマン・コックス氏はプレスリリースで、この地域で撮られた写真というだけでも「十分に貴重」だとコメントしている。「しかも、この高地の草原地帯で生態系の鍵となる2種、チベットスナギツネとマーモットの関係がわかる迫力ある場面を撮れたというのは、驚くべきことです」(参考記事:「2018年 思わず笑ってしまう野生動物の写真17点」

 コンテストのもう1つの大賞、「ヤング・ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」に輝いたのは、14歳のクルーズ・エルトマンさんの水中写真。インドネシア沖のレンベ海峡で夜の海に潜り、虹色にきらめくアオリイカを撮った。(参考記事:「世界水中写真コンテスト、多彩な受賞作13点」

ギャラリー:野生生物写真コンテスト2019、受賞作15点(写真クリックでギャラリーへ)
「ヤング・ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」に輝いた、14歳のクルーズ・エルトマンさんの水中写真。夜のダイビングで、虹色に光るアオリイカを撮った。(PHOTOGRAPH BY CRUZ ERDMANN, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)

 この名誉あるコンテストは、今年で55回を数える。「行動」「フォトジャーナリズム」「ポートレート」など19の部門があり、今年は100カ国の写真家たちから4万8000点の応募があった。(参考記事:「世界最高峰の野生生物写真コンテスト、受賞作14点」

 ナショナル ジオグラフィックの写真家たちも4つの賞を獲得した。「水中」部門ではデビッド・デュビレ氏が、チンアナゴの仲間が海底で作るコロニーの写真で最優秀賞を受賞。チンアナゴの仲間は、砂の中からほぼまっすぐ顔を出す。隠れるのも巧みで、撮影は極めて難しい。「彼らは人間の存在を感じるやいなや、何時間も出てきません」とデュビレ氏。「目の前から完全に消えてしまうのです。まるで水中の蜃気楼です」(参考記事:「水中写真の巨匠デビッド・デュビレ傑作写真集」

ギャラリー:野生生物写真コンテスト2019、受賞作15点(写真クリックでギャラリーへ)
海底にあるチンアナゴの仲間のコロニー。ナショナル ジオグラフィックの写真家デビッド・デュビレ氏がとらえ、「水中」部門で賞を取った。(PHOTOGRAPH BY DAVID DOUBILET, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)

 デュビレ氏は、巣穴がある範囲の真ん中にカメラを隠し、自分は難破船の後ろに隠れることで、大きなコロニーの撮影に何とか成功した。チンアナゴの仲間が顔を出すと、遠隔操作でシャッターを切った。このショットを撮るのに何日もかかった。

次ページ:「ネズミに対する尊敬の気持ちがわいてきました」と写真家

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