ファストフードで体内に「永遠の化学物質」の危険

規制が始まったフッ素化合物PFAS、日常生活に潜んでいる、研究

2019.10.15
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米テキサス州にある工場のパテ成形機。このようなファストフードに施される包装は、PFASと呼ばれる化学物質でコーティングされていることが多い。(PHOTOGRAPH BY BRIAN FINKE, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 ファストフードが健康に良くない理由はこれまで数々挙げられてきたが、また新たな問題が加わった。「PFAS」と呼ばれる化学物質が、人体に蓄積されている可能性があるというのだ。

 PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)とは、耐水性や耐火性を高めるため、一般的な家庭用品に大量に使用されているフッ素化合物の総称。「永遠に残る化学物質」として、近年、欧米で大きな問題になっている。(参考記事:「シリーズ 90億人の食 米国に広がる新たな飢餓」

 ファストフードを食べた人と手作りの料理を食べた人の血中PFAS濃度について調べた新たな論文が、10月9日付けで学術誌「Environmental Health Perspectives」に発表された。

 2003年~2014年に1万人以上から採取した血液サンプル中のPFASを調べたところ、約70%の血液から広く使われている5種類のPFASが検出されたという。研究には、米国疾病予防管理センター(CDC)が定期的に更新する全国健康栄養調査(NHNES)のデータを用いた。

 この調査データでは、過去24時間、1週間、1カ月の間に、どれくらいの頻度でファストフードを食べたかについても聞いているが、それらとPFAS濃度の関係を調べたところ、24時間以内にファストフードを食べた人は血中PFAS濃度が高い傾向にあることがわかった。

 人体から速やかに排出される他の化学物質とは異なり、PFASは何年も残留するおそれがある。このため、定期的にファストフードを食べると、体内にPFASが蓄積されることになる。(参考記事:「人体にマイクロプラスチック、初の報告」

あちこちに含まれる物質

 どの程度の量で人の健康に悪影響が出始めるかは、まだ明らかになっていない。だが、PFASががんや甲状腺疾患、ホルモンの変化、体重増加に関連があることは、多くの研究によりわかっている。

 米国のワシントン州とカリフォルニア州サンフランシスコ市では、食品容器へのPFASの使用を制限する法令が可決された。

次ページ:体内に残留する化学物質

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