土星に20個の新衛星を発見、太陽系で最多に

全部で82個と木星の79個を上回る、17個は「逆行」

2019.10.09
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「いつも心の奥にそのことがありました」とシェパード氏は言う。ところが、その後の新たな技術によって、複数年にわたる望遠鏡画像の関連性をはるかに簡単に分析できるようになった。シェパード氏がデータを分析し直したところ、土星を周回する20個の光の点が浮かび上がった。

 新たな衛星のうち、17個は土星の自転方向とは逆向きに周回する「逆行衛星」で、3年以上をかけて土星の周りを一周する。残る3個の衛星は、土星の自転方向と同じ向きに周回する「順行衛星」だ。そのうち2個は約2年で、最後の1個は3年以上をかけて土星を一周する。(参考記事:「逆回りの珍しい小惑星、「太陽系外から来た」説」

新しく見つかった土星の順行衛星(仮称S/2004 S24)の画像。すばる望遠鏡で撮影したもので、2つの画像には1時間の間隔がある。背景の星や銀河は静止しているが、オレンジ色のバーで示された新しい衛星は動いていることがわかる。(GIF COURTESY OF SCOTT S. SHEPPARD)

 土星の衛星はその性質によって、いくつかの「群」に分類されているが、今回発見された衛星もその中に分類されることになる。軌道の向き、土星からの距離、土星に対する軌道の傾きから考えると、今回発見された逆行衛星は「北欧群」に、順行衛星のうち土星に近い2個は「イヌイット群」に、一番遠くにあるもう1個の順行衛星は「ガリア群」に分類される。

 シェパード氏らは、それぞれの衛星群は太陽系が形成されたばかりのころに、土星の引力にとらえられた別々の天体だったのではないかと考えている。その後、衝突が繰り返される中でバラバラになり、現在のような姿になったという説だ。(参考記事:「木星は「壊し屋」だった、太陽系形成過程に新説」

「これらの衛星は、はるか昔の太陽系がとても無秩序な場所だったことを示しています。あらゆるものが衝突を繰り返していました。衛星はその過程の名残なのです」

 20個の衛星には、まだ正式な名称は与えられていない。名称は現在公募中で、締め切りは12月6日となっている。

衛星はさらに見つかるはず

 チリで建設が進む「巨大マゼラン望遠鏡」のような次世代望遠鏡を使えば、太陽系のガス惑星を周回する衛星がさらに見つかるはずだ。

 シェパード氏によると、現在の望遠鏡では、木星では直径約1.5キロ、土星では直径約5キロより小さい衛星を見つけることはできない。天王星や海王星では、さらに大きな天体さえ見つけられていない可能性もある。(参考記事:「海王星にタツノオトシゴ? キュートな衛星発見」

「とても遠くにあるので、天王星では直径約30キロ、海王星では約50キロが限界です」

 シェパード氏は、さらに遠くにある小さな天体の発見に挑戦するつもりだ。彼は子どものころ、すべての惑星と衛星が掲載された雑誌のページを寝室の壁に貼っていたという。「その図の空白をどんどん埋めていくのは、夢をかなえることにほかなりません」

参考ギャラリー:さよならカッシーニ、写真で振り返る輝かしき偉業 19点(画像クリックでギャラリーへ)
カッシーニが土星系の探査を開始したのは2004年のこと。それから13年にわたり、土星とその衛星の周りを自由自在に飛び回り、無数の指令を実行し、45万枚以上の画像を地球に届けた。 (PHOTOGRAPH BY NASA, JPL, CASSINI)

文=MICHAEL GRESHKO/訳=鈴木和博

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