土星に20個の新たな衛星が見つかったと、天文学者が発表した。これで土星の衛星は全部で82個となり、太陽系でもっとも多く衛星を持つ惑星となった。
木星に12個の衛星が見つかり、合計79個となったのは2018年のこと。今回の発見で、土星にはそれを上回る数の衛星があることがわかった。(参考記事:「木星に12個の新衛星、1個は「幹線道路を逆走」」)
新たに見つかった小さな衛星たちは、初期の太陽系で起こった数多くの衝突について理解する助けになるかもしれない。今後の木星や土星の探査において、接近観測するターゲットの天体になる可能性もある。
「これらの衛星がおもしろいのは、現在進行中の探査ミッションがあることです」と、土星や木星の新たな衛星発見に携わっている米カーネギー研究所の天文学者スコット・シェパード氏は話す。
現時点でも木星や土星の衛星をめざす探査計画はいくつもある。木星の衛星エウロパを探査するNASAのエウロパ・クリッパー、土星の衛星タイタンをめざすNASAのドラゴンフライ、そしてガニメデなど木星の氷衛星をめざす欧州宇宙機関(ESA)のJUICEなどだ。(参考記事:「【解説】木星の衛星エウロパに間欠泉、ほぼ確実」)
「ずいぶん多くの衛星があるので、探査機が木星や土星に近づけば、ほぼ確実にいずれかの衛星の近くを通ることになるでしょう」と、シェパード氏は語る。
17個の衛星は「逆行」していた
観測には、米国ハワイにあるすばる望遠鏡が使われた。今回発見された土星の衛星は、いずれも直径5キロメートルほどの天体で、検出限界ぎりぎりの大きさだという。(参考記事:「研究室:大内正己 巨大望遠鏡で迫る、宇宙の果て」)
発見には10年以上を要した。シェパード氏らは未発見の衛星を探すため、2004年から2007年にかけて、すばる望遠鏡を使って土星の周辺を綿密に観測した。衛星らしきいくつかの光の点は見つかったものの、それらが実際に土星を周回していることを証明するのは困難だった。