【動画】道具を使うイノシシ、世界で初めて観察

飼育下のビサヤイノシシ、巣作りのときだけ見られる行動

2019.10.08
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「それが正しいやり方」

 野生のビサヤイノシシも道具を使うことは十分にありうる、と同氏は付け加える。これには、イノシシの保全に携わるフィリピンの非営利団体タララク・ファンデーションの代表、フェルナンド・“ディーノ”・グティエレス氏も同意する。

 グティエレス氏は数年前、野生のビサヤイノシシの集団が、電気柵に石を押し当てて動作を試しているところを目撃した。「石が柵に接触する瞬間、バチッという音がするかしないか、待つんです」。氏はEメールでそう教えてくれた。「音がすれば柵は通電しているということなので、柵を越えようとはせず、立ち去ります。音がしなければ安全なので、柵の向こうに何があるか調べに行くのです」

「賢いやつらなんですよ」と同氏は語る。

 ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーで野生生物生態学者のラファエル・レイナ=ウルタード氏は、アフリカに生息する世界最大のイノシシであるモリイノシシを研究している。今回の論文については、データの少なさと飼育下という条件を指摘しつつも、氏自身を含めた野生イノシシ研究者が今後、道具使用に目を光らせるきっかけになるはずだと言う。

 たとえばレイナ氏はウガンダで、モリイノシシが寝たり休んだりする前に、鼻先で地面のものをどかすのを目にしている。ただ、道具を使っているところを見たことはない。(参考記事:「【動画】謎多き巨大イノシシ、撮影に成功」

【参考動画】謎に包まれたモリイノシシの貴重な映像(解説は英語です)

 ルート=バーンスタイン氏にとっては、多くの疑問が残っている。とりわけ、鼻先も同じくらい効率的なのに、なぜわざわざ道具を使うのか? という問題だ。明確な機能的説明はない、というのが最もありえそうな答えだ。チンパンジーが毛づくろいをする時にお互いの手を握って、片手しか使えない状態にするのと同じように。

「学習した行動や文化的な行動というのは、そういうものなのです」と氏は言う。「もしかしたら単純に、それが正しいやり方だ、と思うのかもしれません」(参考記事:「【動画】ブラジルの漁師手伝うイルカ 独自の文化か」

文=Christine Dell'Amore/訳=桜木敬子

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