「地磁気逆転」に異常な活動期、100万年で26回

地球のN極とS極が入れ替わる現象、5億年前に頻繁に起きていた

2019.10.04
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「『スター・トレック』的な言い方をすると、私たちのシールドに不具合が生じて、地球の表面が宇宙線やその他の放射線の爆撃を受けたのです」とメールト氏は言う。エディアカラ紀のぐにゃぐにゃした動物の多くは、有害な太陽の放射線から逃げられずに死んでいったのだろう。(参考記事:「謎の古代生物の正体は「動物」と判明、地球最古級」

 しかし、5億年前のカンブリア紀中期に大量絶滅は起きていない。むしろ、この時代にはさまざまな形の生命が繁栄していた。もしかすると、進化がこれらの生物に救いの手を差し伸べて、有害な太陽光線から身を隠せる動物を爆発的に生み出したのかもしれない。とはいえ現段階では、すべては推測にすぎない。(参考記事:「過去の「大量絶滅」と現在の空恐ろしい類似点」

次なる活動期に向かっている?

 とはいえ、地磁気の変化に周期性があるように見えるのは興味深い。1億5000万年ごとに、地磁気が逆転しなくなる期間が長く続くのだ。それ以外では、100万年に5回のペースで地磁気は逆転し、その間にはさらに異常に活発な活動期もある。

 この大まかな周期性から言うと、現在は次なる活動期に向かっているのかもしれないが、まだ不確かな点が多いとメールト氏は言う。それに、たとえ地磁気の逆転が近いとしても、磁極は何千年もかけて移動していくものなので、人間の尺度からすれば非常に遅い変化だ。

「映画のように、昨日は北を指していたコンパスが今日は南を指しているというようなことはありません」とメールト氏。

 これらのパターンを読み解くうえで大きな問題となるのは、まだ地磁気の状況がわからない年代があることだ。今回のカンブリア紀ぐらい古い岩石となると、通常は大陸どうしの衝突によって破壊され、変性してしまうため、記録の多くが不明瞭になってしまうとファン・デア・ブーン氏は説明する。氏は、地磁気の逆転が頻繁に起きていた可能性がある、さらに希少な約4億年前の岩石記録を調べている。

「彼らのデータがうらやましいです。本当に良いデータだと思います」と氏は言う。

 今回の研究者たちは困難な状況下でベストを尽くしたが、これが本当に地球規模で起きた出来事だったと証明するには、ほかの地域からの証拠による裏付けが必要だとドイツ、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンの地磁気学者フロリアン・ルイリエ氏は指摘する。また、堆積岩だけでなく火山岩の記録も見たいと話す。形成時に粉砕・圧縮され、変性することもある堆積岩では、地磁気の記録が影響を受けている可能性があるからだ。

 とはいえ今回の研究は、大昔の地球の活動の激しさを垣間見せ、取り組むべき新鮮なデータをたっぷり提供してくれた。リバプール大学の地球科学者コートニー・ジーン・スプレイン氏は、データをコンピューター・モデルと比較してみたいと言う。「いくつかのモデルを走らせて、その意味を考えたいと思います」

ギャラリー:奇跡の一瞬!心ふるえる地球の名作写真50点(写真クリックでギャラリーページへ)
オーロラに彩られたアイスランドの滝と氷。(PHOTOGRAPH BY BABAK TAFRESHI, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

文=Maya Wei-Haas/訳=三枝小夜子

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