北米の鳥が激減、半世紀で約30億羽、3割が消えた

草原の鳥は53%減、生息地の減少や農薬のほか窓ガラスや猫も原因

2019.09.25
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地衣類に覆われた枝にとまるヒメドリ。生息数が減少している。米マサチューセッツ州ケープコッドで撮影。(PHOTOGRAPH BY DARLYNE A. MURAWSKI, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 森をハイキングしたり街の公園を散歩したりするだけでは気づかないかもしれないが、新たな研究によると、北米の鳥の個体数は静かに、だが急激に減り続けている。9月19日付けで学術誌「サイエンス」に発表された論文によると、760種の鳥が生息する米国とカナダでは、1970年と比べて約30億羽も減少したことが明らかになった。

 おなじみのスズメやウグイス、ムクドリモドキ、アトリなどをはじめ、草原に生息する鳥が最も深刻な打撃を受けており、その数は過去48年間で53%も減少した。田畑を含む草原に暮らす種の4分の3近くが減少傾向にあり、これらの生物群系は、生息地の喪失や有毒な殺虫剤に対して特に弱いと考えられる。鳥の激減は、重要な餌である昆虫が大幅に減ったことも関連しているかもしれないという。

「衝撃的かつ壊滅的な結果だと捉えるべきです」と、論文の共著者で、米ジョージタウン大学のジョージタウン環境イニシアティブのディレクターを務めるピーター・マーラ氏は話す。(参考記事:「鳥はなぜ大切なのか?」

 鳥は、生態系が健全に機能する上で極めて重要だ。翼をもつこの友人たちは、害虫や昆虫の抑制に役立つだけでなく、種子の散布や腐る死骸の処理、さらには植物の受粉にも重要な役割を果たしている。(参考記事:「鳥がいるといないとで、自然はどう変わるのか」

鳥を減らす要因

 マーラ氏の研究チームは今回、北米全域における鳥の個体数を推定した。その調査は529種に及び、中には約50年分のデータが得られたものもあった。これには、気象レーダーによる推定値も含まれる。気象レーダーでは、夜の間に渡る鳥を実測できる。そのおかげで、極北のように、地上からの観測があまり行き届かない地域での生息数の変化を算定できた。(参考記事:「小鳥が自ら腸を吸収し3日間飛び続けることが判明」

 すべてを合計すると、1970年から29億羽も減少していることが判明した。これは、全体の29%に相当する。

【動画】危機にあるオウムたち
オウムはとても賢く、人によくなつくため、鳥ではペットとして最も人気が高い。しかし、ペット取引と生息地の破壊のため、最も絶滅の危機に瀕している鳥類でもある。

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