黒いニワトリ「アヤム・セマニ」。皮膚から内臓まで真っ黒だ。フランスのロレーヌ地方で撮影した。(PHOTOGRAPH BY BIOSPHOTO, ALAMY)
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 インドネシア原産のニワトリ品種「アヤム・セマニ」は、地球上でもっとも色の濃い生物かもしれない。羽だけでなく、くちばし、とさか、骨、そして肉までもが真っ黒なのだ。(参考記事:「黒い深海魚、99.9%の光を吸収と判明、闇に紛れる」

 ほかにも「烏骨鶏(うこっけい)」や、ベトナムの「フモン」、スウェーデンの「スウェディッシュ・ブラック・チキン」も同様に黒い皮膚や組織をもつ。これは黒色色素が過剰に沈着している状態で、科学的に「ファイブロメラノーシス」と呼ばれている。

 なぜ、このように黒いニワトリが誕生したのか。

「ゲノムで複雑な並び替えが起こっていることがわかっています」と、家畜の遺伝子について研究しているスウェーデン、ウプサラ大学の遺伝学者リーフ・アンデション氏は語る。

 氏によると、前述の4つのニワトリはいずれも、数百年前、あるいは数千年前に生きていた1羽の鳥にさかのぼることができるという。「ファイブロメラノーシスの原因となった突然変異はとても特徴的なので、これが起きたのは1度だけだと確信しています」(参考記事:「超レアな黒いフラミンゴ、キプロス島で見つかる」

肉や骨まで黒くなる理由

 インターネットで探せば、黒いヒョウやサーバル、黒いフラミンゴ、黒いウロコのヤモリやヘビなど、さまざまな黒い動物を見つけることができる。だが、アンデション氏が研究しているニワトリは、色素の沈着がまったく違うレベルで起きているという。(参考記事:「黒いサーバルの撮影に成功、小型野生ネコ、ケニア」

 ほとんどの脊椎動物は、エンドセリン3(EDN3)という遺伝子を持っている。この遺伝子の大きな役割は、皮膚の色を決めることだ。通常のニワトリの場合、発達の過程で皮膚や羽嚢などの一部の細胞でEDN3が発現し、色を作成するメラニン芽細胞の移動が始まる。

 しかし、色素過剰沈着が起こるニワトリでは、体中のほぼすべての細胞でEDN3が発現する。そのため最大10倍のメラニン芽細胞が生成され、骨や内臓まで真っ黒になる。

参考ギャラリー:世界の美しい鳥たち8(画像クリックでギャラリーへ)
ゴシキセイガイインコとクラカケヒインコ (Photograph By Manny Ramirez, National Geographic Your Shot)

次ページ:黒いニワトリの過去と現在

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