「北風の凍れる竜」を意味する名前をもつ新種の翼竜クリオドラコン・ボレアス(Cryodrakon boreas)が発表された。論文によると、この空飛ぶ爬虫類は翼を広げた長さが少なくとも5メートル近くあり、大きいものでは約10メートルに達した可能性もあるという。(ILLUSTRATION BY DAVID MAAS)
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 カナダ、アルバータ州の凍てついた荒地で「凍った竜」が見つかった。かつて恐竜たちの頭上を飛んでいた翼竜の新属だ。翼を広げた長さは少なくとも約5メートルはあった。

 約7600万年前の白亜紀、現在のカナダ西部に暮らしていたこの空飛ぶ爬虫類はクリオドラコン・ボレアス(Cryodrakon boreas)と名付けられ、古生物学の専門誌「Journal of Vertebrate Paleontology」に9月9日付けで発表された。

「生きていたときは、もちろん凍った竜などではありません」。こう指摘するのは、論文の共著者で南カリフォルニア大学の古生物学者、マイク・ハビブ氏だ。「この動物は、適度に温暖な中を飛んでいたはずです。今のアルバータ州中部よりは、格段に暖かい環境でした」

「同じく翼竜の研究に取り組んでいるカナダ人として、長く放置されていた生物に正式な名前が付くのは本当に素晴らしいことです」。英ブリストル大学の研究員である古生物学者、エリザベス・マーティン=シルバーストーン氏はこう話す。同氏は今回の研究に関わっていない。(参考記事:「白亜紀末にいるはずのない小型翼竜を発見」

 この翼竜の骨を、科学者たちは30年近く前から知っていた。だが、ケツァルコアトルス・ノルトロピという翼竜の一部だと長いこと考えられていたと、英ロンドン大学クイーンメアリー校の古生物学者で論文の共著者であるデイブ・ホーン氏は言う。いずれも、巨大な頭と首をもつアズダルコ科という翼竜のグループに含まれる。(参考記事:「史上最大の翼竜、こんなに頭が大きかった」

 アズダルコ科は、途方もない大きさに達することで知られる。特にケツァルコアトルスがそうだ。現在の米テキサス州を飛んでいたころ、この生物は翼開長が10メートルを超えていた。地上を歩けば肩の高さは約2.5メートルを超え、キリンと同じくらいの高さだった。

 クリオドラコンの発見により、大型のアズダルコ科のうち少なくとも2つの属が北米にすんでいたことが明らかになった。また、太古の多様性と、史上最大の飛翔動物がどう生き抜いていたかについても、知識を広げてくれる。(参考記事:「巨大翼竜は飛べなかった? 島で独自に進化か」

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