ブラジルのカンポ・グランデ市内、ヤシの木に止まるルリコンゴウインコのメス。幹の中にある巣には2羽のひながいる。(PHOTOGRAPH BY LUIS PALACIOS)
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 インコを研究する生物学者のラリッサ・ティノコ氏が調査の日々を過ごすのは、熱帯雨林の奥深くではない。ラッシュアワーで混雑する、ブラジル中西部マットグロッソ・ド・スル州の州都カンポ・グランデだ。

 6月の冬のある日、ティノコ氏はお決まりのルートを車でめぐった。緑の多い郊外、空いた駐車場、大きな野菜畑を過ぎ、にぎやかな通りに出るそのルート上には、ルリコンゴウインコの巣が158カ所ある。ここカンポ・グランデには、少なくとも700羽のルリコンゴウインコが暮らしている。(参考記事:「25種の外来オウムが米国で野生化、実は朗報?」

 だが、巣はすべて留守だったようだ。午後の大渋滞をのろのろと進むなか、「アーバン・バーズ(都会の鳥)プロジェクト」の一員でもあるティノコ氏が、突然「あっ」と声をあげた。

 前方に、陽の光を受けたルリコンゴウインコの鮮やかな胸と、大きく広げた翼が見えたのだ。本当にあっという間に視界から消えたものの、数秒後には大きな鳴き声がした。コンゴウインコが近くの木に止まったのだとわかる。

自然を追われて都会へ

 この街に初めて数十羽のルリコンゴウインコが姿を現したのは、1999年のこと。パンタナールなどで発生した深刻な干ばつや森林火災から逃れてきたのだ。パンタナールはカンポ・グランデから約150キロ離れたところにある、日本の本州の8割ほどの広さがある大湿原だ。(参考記事:「【動画】南米の森の多様性、魚が育んでいた」

「ここの環境は過ごしやすいという噂が、インコたちの間で広まったみたいです」とスミレコンゴウインコ研究所の設立者で代表者のネイバ・ゲーデス氏は話す。カンポ・グランデのコンゴウインコを調査するアーバン・バーズ・プロジェクトは、この研究所の活動の一環だ。

 実際、カンポ・グランデでは2018年に巣の数や繁殖数が急増した。ティノコ氏の調査によれば、前年の133羽を上回る、184羽のルリコンゴウインコのひなが都市部で生まれたという。

【動画】危機にあるインコやオウムたち
高度な知性を持ち社交的なオウムやインコは、ペットとして最も人気がある鳥だと言っていい。しかし、ペット産業と生息地破壊のせいで最も絶滅の危機に瀕する鳥でもある。(字幕は英語です)

次ページ:コンゴウインコが戻ってきた地域も

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