ティラノ頭骨の謎の穴に新説、頭を冷やす仕組みか

脳を熱から守る特別な組織があった? 飾りに使われていた可能性も

2019.09.06
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白亜紀後期の北米を赤外線カメラで撮影すると、こんな映像が撮れたかもしれない。ティラノサウルス科の恐竜ダスプレトサウルスとワニのデイノスクスが、角竜の死骸をめぐって睨み合っている。動物たちの頭部は、ほかの部位より多くの熱を放射している。このような適応は、脳の温度を低く保つのに役立っていた可能性がある。(ILLUSTRATION BY BRIAN ENGH/ DONTMESSWITHDINOSAURS.COM)
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 ゾウやサイなどの大型動物は、体温が上昇しすぎるのを防ぐための戦略を進化させる必要があった。大型の肉食恐竜ティラノサウルス・レックスなども、同じ問題に直面していただろう。そしてこのたび、恐竜たちが頭部に大きな「エアコン」を進化させることで、この問題を解決していたかもしれないという研究結果が発表された。(参考記事:「チーター、狩りでオーバーヒートせず」

 米ミズーリ大学医学部の古生物学者ケイシー・ホリデー氏が率いる研究チームは、肉食恐竜の頭蓋骨の上部に開いている「背側側頭窓」という穴を調べた。解剖学的に慎重に研究したところ、この穴にはおそらく脂肪と血管を豊富に含む組織があったことが分かった。

 統合解剖学と進化生物学の専門誌「The Anatomical Record」に掲載された論文によると、こうした構造は、恐竜の体温が高くなりすぎたら環境中に熱を捨て、寒くなったら熱を吸収するのに役立っていた可能性があるという。

「ティラノサウルスのような大型の獣脚類恐竜や、ヴェロキラプトルなどの一部の小型獣脚類恐竜でさえも、血管が入った袋のような組織がおそらく頭部にあって、温度調節に役立っていたと考えられます」とホリデー氏は話す。

見過ごされていた謎の穴

 100年以上の間、古生物学者たちは、ティラノサウルスなどに見られるこうした穴は、顎の筋肉の保持に役立っていたと考えていた。恐竜やその親戚である鳥類では、この穴が、大きな顎筋が付着する別の穴のすぐ近くにあったためだ。 (参考記事:「実は凶器? ティラノサウルスの短すぎる腕に新説」

  米メリーランド大学カレッジパーク校のティラノサウルスの専門家であるトーマス・ホルツ氏は、「ほぼ全員が、筋肉がさらに付着するもうひとつの場所だと考えていました」と言う。ホルツ氏は、今回の研究には関与していない。

 論文を発表したホリデー氏は、恐竜やワニ、その他の動物の頭蓋骨のこの穴を詳細に調べてみると、従来の説明に対して疑問が湧いたという。まず、この穴にティラノサウルスの顎筋が付着するなら、その筋肉は顎から上がってきて、90度回転し、頭蓋冠に沿ってくねくねと進まなければならないからだ。さらに不思議なことに、この骨の表面はとても滑らかで、筋繊維や腱が付着する骨と大きく異なっていることが示唆された。

 研究者たちが現代のワニや鳥類(現存する動物のなかでは非鳥類型恐竜に一番近いもの)の解剖学的構造を調べると、この領域が脂肪と血管で満たされている傾向があることが分かった。この構造は、ちょうどエアコンの熱交換器のように、環境中に熱を放出したり吸収したりできた可能性がある。

恐竜101
かつて地球上には1000種以上の恐竜が生息していた。どの恐竜が最大で、どの恐竜が最小だったのだろうか?恐竜たちは何を食べ、どのようなふるまいをしていたのだろうか?恐竜の絶滅をめぐる驚くべき事実も紹介しよう。(解説は英語です)

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