人類の北米到達、定説覆す新証拠 アイダホ州の遺跡

アメリカ大陸最古級の石器、日本の石器との類似点も

2019.09.06
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より古い出土品が続々

 クーパーズ・フェリーは、近くにサーモン川が流れる、夏は暑く冬は寒い素朴なところだ。先住民はこの地を、古代の村ニペヘと呼んでいた。

 今回の論文を執筆した米オレゴン州立大学の考古学者ローレン・デービス氏は、1997年、博士論文の一環で、クーパーズ・フェリーを初めて発掘した。そこで、西部有茎尖頭器と呼ばれる、先をとがらせた石器を発見。槍などに取り付けられていたものかもしれないが、同じ小さな穴に埋まっていた骨と木炭を放射性炭素による年代測定にかけたところ、最も古くて1万3300年前と判定された。

 最初の発掘からおよそ10年後、デービス氏はさらに広範囲な調査をしようと、再びクーパーズ・フェリーにやって来た。まだ消えずに残っている疑問、「90年代に自分が見つけた道具は、クロービスの道具より古いのか」を知りたかった。(参考記事:「クロービス文化の起源、定説に疑問」

 この10年の発掘で、デービス氏らのチームはさまざまな痕跡を見つけた。太古のたき火による亀裂の入った岩、道具作りや修理のための作業場、動物の解体場、動物の骨のかけらなどだ。デービス氏らは昨年、炉から出た木炭のサンプルを放射性炭素年代測定に回したところ、幅はあるが、およそ1万4000年前という結果に驚かされた。この結果を確認するため、クーパーズ・フェリーの出土品サンプルをさらに測定にかけた。

最初に大陸へ来たアメリカ人たちは、米アイダホ州西部のクーパーズ・フェリーで動物を解体したり、石器を作ったりしていた。(PHOTOGRAPH BY LOREN DAVIS)
最初に大陸へ来たアメリカ人たちは、米アイダホ州西部のクーパーズ・フェリーで動物を解体したり、石器を作ったりしていた。(PHOTOGRAPH BY LOREN DAVIS)
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「結果が次々と出ましたが、数字はどんどん古く、古く、さかのぼっていきました」とデービス氏。クーパーズ・フェリーにある、遺物が詰まった堆積物の最も深い層は、約1万5000~1万6000年前の範囲と測定された。「この遺跡がそこまで古いとは、全く考えたことがありませんでした」

日本にもよく似た石器が

 クーパーズ・フェリーの年代が判明したことで、北米大陸を南下できる無氷回廊が現れるよりも前に、南の土地にすでに人がいたという証拠がまた一つ増えた。だ。デービス氏や同僚の研究者たちは、今回の発見が、現在支持を集めつつある説の裏付けになると考えている。初めてアメリカ大陸を目にしたのは、船で太平洋岸に達した船乗りたちだとする見解だ。

次ページ:日本で出土した道具類と類似点?

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