小さなチワワからどっしりとしたセントバーナードまで、世界には数百にのぼるイヌの品種が存在する。これは何世紀にもわたって人間が行ってきた選択的交配の成果だ。イヌの体格や気性がこれほどまでに多様化してきたことを考えれば、彼らの体だけでなく、脳にも違いがあっても意外ではないだろう。
33品種を対象に、MRIによるスキャンを行った新たな研究によると、どのような品種改良が加えられたかに応じて、イヌの脳の構造が異なることが明らかになった。この論文は9月2日付けの学術誌「Journal of Neuroscience」に発表された。(参考記事:「犬の遺伝子を科学する」)
たとえば、ラサアプソなど小さくなるように改良が加えられたイヌは頭部が丸く、頭骨内に丸い脳がぴったりと収まっている。一方、ゴールデン・レトリバーのような大型犬の頭部は細長く、脳も長く伸びた形状をしており、頭骨内部の空間にはやや余裕がある。
「スキャン画像を見ただけでとても驚きました」と、米ハーバード大学の進化神経科学者で、研究を主導したエリン・E・ヘクト氏は言う。「科学の分野で、複雑な統計などを一切取らずに、何か重要なことが起こっているとわかるのは、本当にすごいことなのです」(参考記事:「誰もが弱い「子犬のような目」 人との交流で進化」)
イヌの脳についての新たな知見は、品種というものがどれほどイヌと分かちがたく結びついているかをよく示している。引いてはこれからイヌを飼おうと考えている人たちに、自分の家にふさわしい品種を選ぶうえで参考にしてもらえるだろうと、ヘクト氏は述べている。(参考記事:「チョコ色のラブラドール・レトリバーは短命、研究」)
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