解説:380万年前の猿人、人類史をこう書き換える

画期的な発見、新しくなる人類の進化史を解説

2019.08.31
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新たに発見された頭蓋骨MRD-VP-1/1は、アナメンシス猿人という初期の人類のものである。(PHOTOGRAPH BY DALE OMORI, COURTESY OF THE CLEVELAND MUSEUM OF NATURAL HISTORY)
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 アフリカ、エチオピアでヤギの囲いを作ろうと地面を掘っていた男性が、特別な骨を見つけた。約380万年前に亡くなった人類の祖先の、ほぼ完全な頭蓋骨だ。

 8月28日付けの科学誌『ネイチャー』に発表された論文によると、この頭蓋骨はアウストラロピテクス・アナメンシス(アナメンシス猿人)のものと判明した。これまでに発見されたアウストラロピテクス属(150万〜400万年前に生息していた初期人類)の頭蓋骨の中では最も古い。

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 アナメンシス猿人はアウストラロピテクス属の中でも早期のグループで、頭蓋骨が見つかったのはこれが初めてだ。(参考記事:「最初に道具を使った人類はアウストラロピテクス」

 論文の筆頭著者である米クリーブランド自然史博物館の古人類学者ヨハネス・ハイレ=セラシエ氏は、「380万年前の人類の先祖はどんな顔をしていたのだろうと考えることで、時間を遡ることができます。ワクワクする瞬間です」と語る。

 この発見は、人類進化史の大きな穴のいくつかを埋めてくれるはずだ。これだけ古いヒト族の化石は非常に珍しいうえに、見つかっても骨の一部だけということもしばしばだ。しかし、今回発見された頭蓋骨はほぼ完全で、初期の人類がどのように暮らし、進化したかについて、多くの事実を明らかにしてくれるだろう。

 米ミズーリ大学の古人類学者キャロル・ウォード氏は、「これこそ私たちが待ち望んでいた頭蓋骨です」と言う。氏は今回の研究には関わっていない。「ヒト族の頭蓋骨は非常にまれなお宝です。これだけ古く、完全な頭蓋骨の発見は、ほとんど前例がありません」

アウストラロピテクスとは何者?

 複雑にもつれた人類の家系図は、400万年以上前のアフリカに生息していたアルディピテクス属やサヘラントロプス属などの霊長類まで遡ることができる。ヒト属(ホモ属)が出現したのは300万年前で、それ以前から人類進化の歴史を彩ってきたのが、アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)などアウストラロピテクスの仲間だった。(参考記事:「人類発祥の地は東アフリカか、南アフリカか」

次ページ:研究者は飛び跳ねて喜んだ

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