南大西洋に浮かぶ島、英国領アセンション島の周辺44万平方キロメートルほどの海域が、正式に海洋保護区となる予定だ。このあたりは世界でも特に手つかずの自然が残り、生物多様性が豊かな海域となっている。(参考記事:「「世界の果ての海」が海洋保護区に認められるまで」)
地図で見る限り、アセンション島は絶海に浮かぶ小さな孤島だ。しかし、この島は海底火山の頂上にあたり、海の下には「世界有数の山脈」と言える大西洋中央海嶺が延びている。
日本国土の1.2倍
アセンション島当局が保護区の計画を発表したのは、8月24日のこと。続く26日に、英国政府は700万ポンド(約9億円)を海洋保護に充てることを発表した。
この金額の一部が、アセンション島海洋保護区の維持に充てられる見込みだ。海域の維持には、年間約15万ポンドが必要と見られている。保護区全体の広さは日本の国土の約1.2倍に相当する。英国政府はまだ予算の明細を発表しておらず、正式な保護区となるのはそれからになる。(参考記事:「本州の9割強相当の海洋保護区を設立、セーシェル」)
「あと一歩のところまでやってきました」と、今回の保護区に関する交渉に参加したエイドリアン・ガーン氏は語る。氏は、海の保全を目指すナショナル ジオグラフィックの「原始の海」プロジェクトで、英国の保護区を担当している。(参考記事:「“原始の海”を守る、エンリック・サラ」)
「地元自治体からの要請があり、英国政府は大筋で資金援助を約束しました。必要な技術はそろっています。あとは、英国政府が永続的に海洋保護区に資金提供するという書面での確約を残すのみです」