アマゾン森林火災、原因は「過剰な伐採」と専門家

1週間で9000件以上の火災報告、大統領の開発政策が影響か

2019.08.22
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 アマゾンでは、木材用に加えて、大豆畑や牛の放牧地を作るために、大量の木が伐採されている。手っ取り早く開拓するために、森を焼き払うことも少なくない。アマゾンの森林火災は、大半がこのように人間が火をつけ、その後制御不能に陥ったものなのだ。(参考記事:「巨大な炎の渦は「火災竜巻」だった?米の山火事で」

 森林破壊により森が失われると、その地域全体が乾燥し、さらなる森林減少をもたらす「負のスパイラル」に陥ると、ラブジョイ氏は説明する。

 アマゾンに降る雨の多くは、熱帯雨林自体から生じているため、森が消えれば降水量も減る。乾燥が進むと、やがて回復不能点に達し、熱帯雨林と言うよりはサバンナと言うべき状況になりかねないと、専門家は懸念している。

「アマゾンには、この限界点が存在します。降水量の半分を自己生産しているからです」とラブジョイ氏。「アマゾンは、1つのシステムとして管理しなければならないのです」(参考記事:「森林火災が地球におよぼすこれだけの影響」

地球の気候にも影響

 今後も森林の伐採や管理ミスが続けば、今回のような火災が続く可能性があるとラブジョイ氏とミュールバート氏は警告する。これほど大規模に森林が失われれば、地球規模の影響が出る恐れがある。

 アマゾンの保護は、地球温暖化を緩和する重要な方法の一つによく数えられている。毎年、膨大な量の炭素を吸収しているその森林を伐採したり焼いたりすれば、蓄えていた炭素が放出されるだけでなく、炭素を吸収する1つの手段も失われる。(参考記事:「森の再生で過去100年分のCO2を帳消しにできる」

参考ギャラリー:カリフォルニア州史上最悪の山火事 写真18点(画像クリックでギャラリーへ)
参考ギャラリー:カリフォルニア州史上最悪の山火事 写真18点(画像クリックでギャラリーへ)
2018年11月、米国カリフォルニアで州史上最悪の山火事が発生し、多数の犠牲者を出した。(PHOTOGRAPH BY JUSTIN SULLIVAN, GETTY IMAGES)

「あらゆる森林破壊は、生物多様性とその恩恵を受ける人類への脅威なのです」とラブジョイ氏は話す。「圧倒的な脅威は、大量の炭素が大気中に解き放たれることです」と同氏は付け加える。

 8月の森林火災により放出された炭素量を計算するのは、時期尚早だとミュールバート氏は言う。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今月発表した報告で、気候変動による最悪の影響を回避したいならば、世界には、余剰の森林など存在しない、と述べた。(参考記事:「地球温暖化の影響は想定より深刻、IPCCが警告」

「悲劇です」と今回の森林火災とその背後にある森林伐採のことをミュールバート氏は語る。「地球に対する犯罪であり、人類に対する犯罪なのです」(参考記事:「森林火災に立ち向かう「スモークジャンパー」とは」

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文=SARAH GIBBENS/訳=牧野建志

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