絶滅動物ケナガマンモス。その牙は、象牙同様に珍重されている。(PHOTOGRAPH BY JONATHAN BLAIR, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 8月17日からスイス、ジュネーブで開催されているワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の締約国会議で、驚くべき提案がなされている。マンモスを規制対象リストに加えようというのだ。

 ケナガマンモス(学名Mammuthus primigenius)は、かつて北米やユーラシア大陸の北部に生息した哺乳類で、4000年以上前に絶滅している。現在生息している動植物の規制対象リストに絶滅種を加えるというこの提案は、当然ながら論争を呼んでいる。

 ワシントン条約の目的は、国際取引が原因になって、現生の動植物が絶滅に追い込まれるのを阻止することにある。絶滅種が明確に除外されているわけではないものの、「通常、(絶滅種の)追加は提案すべきでない」という文言がある。(参考記事:「ワシントン条約会議が浮き彫りにした9つの現実」

 提案したのはイスラエルだが、その目的は何なのか?

 答えは、象牙の密輸を取り締まるためだ。(参考記事:「牙のないゾウが増えている、原因は密猟」

 提案書には次のように書かれている。「マンモスの牙の取引はほぼ規制がなく、記録もほとんどなされていない。また、マンモスの牙と象牙は区別するのが難しいため、象牙をマンモスの牙と故意に偽れば、ワシントン条約の規制を回避できる。つまり、象牙の違法な国際取引が促進されるという明白なリスクがある」

 牙の加工品で比べると、ケナガマンモスの牙と象牙には物理的な違いがほとんどない。肉眼ではわかりにくいが、マンモスの牙は藍鉄鉱(ビビアンナイト)というリン酸鉄を含有し、青緑または茶色がかった着色を生じることがあるくらいだ。加工前の牙であれば、容易に見分けがつく。マンモスの牙は象牙と異なり、らせんを描くように成長する。(参考記事:「マンモスの牙を探せ」

広がるマンモスの牙の取引

 近年、永久凍土の融解が進み、シベリアの氷の下に閉じ込められていたケナガマンモスが次々と発見されている。そして、シベリアを擁するロシアが、氷の象牙(アイスアイボリー)とも呼ばれるマンモスの牙の主要輸出国になっている。(参考記事:「マンモス再生は、どこまで現実に近づいているのか? 研究者が解説」

次ページ:マンモス取引を規制してゾウを守る

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