巨大オウムの新種化石を発見、肉食の可能性も、NZ

1600万年以上前、体高1mで体重7kg、「ヘラクレス」と命名

2019.08.12
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「完全に予想外で、まったく新しいものでした」とワージー氏は言う。「これがオウムの骨であることを確信すると、今度は世界中の人々を納得させる必要がありました」

 ワージー氏のチームは、この骨をさまざまな博物館が所蔵する標本やオンラインの画像と比較して、鳥のグループを絞り込んでいった。その筆頭に上がったのが、オウム科とインコ科からなるオウム目だった。

「今回示された証拠をみると、彼らの結論には説得力があります」とボイヤー氏は言う。「オウムの形態はかなり特徴的だからです」

 研究チームは、脚の骨の太さに基づいて鳥の大きさを推定した。ただし彼らの計算では、オウムが他の科の鳥類と比べて特殊な姿勢をとることが考慮されていない、と米スミソニアン国立自然史博物館の鳥類部門の学芸員ヘレン・ジェームズ氏は指摘する。とはいえ、たとえ完璧な見積もりではなくても、この鳥がオウムにしては非常に大きいのは確かだと言う。

 ニュージーランド自然保全局の保全生物学者で、カカポの保護活動をしているアンドリュー・ディグビー氏は、今回の研究を知って「本当に驚きました」と言う。カカポは1900年代初頭から絶滅の危機に瀕している。

近絶滅種のカカポ(フクロウオウム)は、今回発見された巨大オウムの食物や移動方法を解明するヒントを与えてくれる。現在、野生のカカポは189羽しか生息していないが、1995年の51羽よりは増えている。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
近絶滅種のカカポ(フクロウオウム)は、今回発見された巨大オウムの食物や移動方法を解明するヒントを与えてくれる。現在、野生のカカポは189羽しか生息していないが、1995年の51羽よりは増えている。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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「初めてカカポを見た人のほとんどが、『うわあ、思っていたよりずっと大きいんですね』と言います。カカポは攻撃的になることがあるので、その2倍の大きさの鳥となると、ちょっと驚きますね。かなり怖い鳥だったのではないでしょうか」とディグビー氏は話す。

「オウムがどれほど賢いか考えると、たしかに怖いですね」と論文の共著者であるニューサウスウェールズ大学の古生物学者スザンヌ・ハンド氏も言う。(参考記事:「「笑い声」で明るい感情が伝染、NZの希少オウム」

空を飛べず、肉も食べていた?

 ヘラクレスの骨は2本の脛足根骨しか見つかっていないため、その行動については多くが謎のままだ。骨の重さや骨端に見られる小さな手がかりからは、この巨大なオウムが木に登ったり空を飛んだりできなかったことが示唆される。彼らはおそらく林床で生活していた。

 ヘラクレスは食べられる範囲の植物だけを食べて生きていた可能性があるとディグビー氏は言う。実際、人間がニュージーランドにやってきた直後に絶滅した飛べない巨鳥モアは草食だった。そして、化石のまわりの粘土層から見つかった花粉は、このオウムが、穏やかな亜熱帯の気候に暮らしていたことを物語っている。トロピカルフルーツをつける植物が60種以上ある環境だったため、食物の選択肢は多かったはずだとワージー氏は言う。

 ただし、これだけ大きい鳥が植物の葉と果実から十分なカロリーをとるのは難しい。栄養不足を補う食物も必要だったかもしれない、とハンド氏は指摘する。オウムが肉を食べることは一般的ではないものの、時々あることが知られている。

次ページ:「ゴジラのようなオウムでした」

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