人工肝臓で脂肪肝の再現に成功、医療への応用に光

iPS細胞から作成、増え続ける非アルコール性脂肪肝の研究

2019.08.09
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
培養液に入れられた人工ミニ肝臓。医学研究において、多くの課題を解決すると期待されている。(PHOTOGRAPH BY NATHANIEL LANGER, UPMC)
[画像のクリックで拡大表示]

 見た目は人間の肝臓のようだが、本物より少し小さいその肉の塊は、ヒトの細胞から作られた人工の肝臓だ。実験室で作られたものとしては最も複雑な臓器だという。肝臓と言えば、消化を助け、有害な物質を解毒するなど、多くの重要な役割を担っている。(参考記事:「「汗をかいてデトックス」はウソだった、研究報告」

 研究チームが小さな臓器を作った目的は、病気にするためだ。その結果が、8月6日付けで学術誌「Cell Metabolism」に発表された。

 肥満が増えるにつれて、肝臓に脂肪が蓄積する非アルコール性の脂肪肝が増えている。悪化すれば、肝不全に陥る病気だ。米国だけでも、現在8000万~1億人の患者がいるものの、病気がどのように進行するのかはよくわかっていない。(参考記事:「震えるだけで脂肪が燃焼?」

 様々な病気の研究では、これまで動物が決定的な役割を果たしてきた。だが、動物と人間では、生物学的に異なる部分が当然ある。その壁を乗り越えようと、今回の研究では、ミニ肝臓が果たす大きな役割に焦点を当てている。(参考記事:「1型糖尿病根治に期待、人工ベータ細胞」

「人間の肝臓を人工的に作れれば、組織のゲノムを自由に操作して疾患を再現し、研究できます。これが、これからの医学になると思います」と、論文の筆頭著者で米ピッツバーグ大学医学部のアレハンドロ・ソト・グティエレス氏は述べている。

「肝臓病のモデルを作るために、機能性組織を作成する。それもまさに人間のものとして。とても賢いやり方です」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の肝臓研究者ジョー・セガール氏は話す。なおセガール氏は、この研究には関わっていない。

次ページ:人工肝臓の作り方

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    記事が全て読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

先端科学の現場で見る 人体の神秘

DNAや脳、生死など“人体”にかかわるテーマにフォーカスしたムックです。 研究の最前線に立つ人たちに取材し、フィールドにも足を運んで人々の声を聞き、ナショジオならではの生の情報を、豊富なビジュアルとともにお伝えします。

定価:本体1,400円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加