海鳥のプラスチック誤食、少量でも健康被害、研究

「今回のデータは、危険信号です」と研究者

2019.08.07
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アホウドリとミズナギドリが、船から投げ捨てられたイワシを食べる。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 たとえ食べた量が少なくても、プラスチックを誤食した海鳥には深刻な健康問題が生じる、と最新の研究が報じた。海洋生物におけるプラスチックの影響を調べたこれまでの研究の多くは、プラスチックが動物を死に至らしめる点に着目してきたが、今回の研究は、死に至らない「非致死的」な影響について調査した数少ない研究の一つだ。

 調査対象となった幼い鳥たちは、腎機能が低下し、コレステロール値が高かったうえ、体重、翼長、頭やくちばしのサイズが平均を下回っていた。

「平気そうに見えたとしても、海鳥は調子が悪い、苦しいと訴えることができません」と、オーストラリア、タスマニア大学の海洋南極研究所に所属するジェニファー・レイヴァース氏は話す。7月15日付で学術誌「Environmental Science & Technology」に発表された、プラスチック誤食の非致死的な影響に関する論文の筆頭著者だ。

「彼らの健康状態について、人間同様に調べようと考え、血液検査をしました」

海の健康状態をあらわす鳥

 一般に、海鳥の現状は好ましくない。他のどのグループの鳥よりも個体数の減少が著しく、その原因の一つがプラスチックだと考えられている。(参考記事:「海鳥の危機、過去60年で70%も減っていた」

「海鳥たちは、海の健康の指標となる『炭鉱のカナリア』のような役割を果たしています。彼らを注意深く観察しておかないといけません」と同氏は話す。

 レイヴァース氏と共同研究者たちは、何年にもわたってプラスチックがアカアシミズナギドリ(Ardenna carneipes)の健康に及ぼす影響について調べてきた。調査地は、オーストラリア東海岸から600キロ離れたロード・ハウ島、この鳥の最大の繁殖地だ。アカアシミズナギドリは、ピンク色の両脚からその名を付けられた、南オーストラリアから北ニュージーランドにかけて生息する中型の海鳥だ。近年、個体数は29%も減少している。

 他のほとんどの海鳥と同じように、ミズナギドリは繁殖と子育てのためだけに陸で過ごす。夜になると、親鳥たちは魚やイカを取りに出かけ、巣に戻ってヒナたちにそれらを与える。しかし、海には毎年800万から900万トンものプラスチックごみが投入されており、日に日に汚染が悪化している。それゆえ、親鳥たちは誤ってペットボトルの蓋などのプラスチック片をヒナに与えてしまう。年によっては、ミズナギドリのヒナの約90%で、胃の中から少なくとも一つのプラスチック片が見つかったという。(参考記事:「海鳥の90%がプラスチックを誤飲、最新研究で判明」

次ページ:血液検査の結果わかったこと

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