宝石ゾウムシをまねる昆虫、目立つのになぜ?

フィリピンで見つかる新種、きらめく昆虫たちのサバイバル術

2019.08.06
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新種のゾウムシMetapocyrtus willietorresi(右)と、既知で別種のゾウムシPachyrhynchus reicherti。フィリピンでは似た模様をもつゾウムシが見つかる。(PHOTOGRAPH BY ANALYN CABRAS)
新種のゾウムシMetapocyrtus willietorresi(右)と、既知で別種のゾウムシPachyrhynchus reicherti。フィリピンでは似た模様をもつゾウムシが見つかる。(PHOTOGRAPH BY ANALYN CABRAS)
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 フィリピン、ミンダナオ島の高地に広がる熱帯雨林で、昆虫学者アナリン・カブラス氏は日々、細心の注意で昆虫たちを探している。「ホウセキゾウムシ(jewel weevil)」と呼ばれる、小さな玉虫色の昆虫たちだ。 

 このゾウムシたちは、わずかな振動でも感知できる。そのため、捕食者(または研究者)が枝を揺らした瞬間、ゾウムシは本能的に下の地面に飛び降りる。そして暗い色をした腹を上に向けて、地面に溶け込むのだ。

「珍しい種を見つけると、できるだけ慎重に動きます。いったん落ち葉にまぎれてしまったら、見つけることはほぼ不可能です」とカブラス氏は話す。同氏は、フィリピン、ミンダナオ大学甲虫類研究センターの主任研究員で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもある。

 ゾウムシ科は地球上で最も多様なグループの1つで、6万2000種以上が確認されている。(参考記事:「ゾウムシの「鼻」はなぜ長い?」

 フィリピンには400種を超えるホウセキゾウムシがいるが、その多くはとても狭い範囲にしか生息していない。生息範囲が森のほんの一角ほどの場合もある。

 カブラス氏は、そんなホウセキゾウムシを5年にわたって調査してきた。その努力が報われ、新種のホウセキゾウムシ2種を発見し、2018年に論文を発表した。また、さらに7種について、新種として特定する作業を進めている。

ゾウムシの不思議

 ホウセキゾウムシは、その名の通り、生きる宝石だ。ホウセキゾウムシの鞘翅(さやばね)には、きらめく模様が随所に刻まれている。その色合いは、光沢のある青緑色や輝く金色、淡いオレンジ、かわいらしいピンクまでさまざまだ。(参考記事:「生命を包む美しく硬い翅」

 ホウセキゾウムシはとても目立つため、カエルやトカゲ、鳥に見つかりやすいと思うかもしれない。実際のところ、ホウセキゾウムシは見られたいのだ。

「ホウセキゾウムシの体は、とても硬いのです。踏んでも簡単にはつぶれません」とカブラス氏は話す。「だから、より鮮やかな色になり、食べられないと捕食者にアピールしているのです。食べようとしても苦労することになるぞ、と警告しているのです」(参考記事:「色覚のない敵に「派手さで警告」は通用するか?」

次ページ:警告色が人間の密猟を誘う皮肉

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