原子力発電は、温暖化の解決策として喧伝されることがある。世界は化石燃料から環境に優しいエネルギー源への移行を模索しているが、電力需要は増加の一途をたどっている。原発なら、ひとたび稼働すれば、温室効果ガスである二酸化炭素を排出することなく、曇りの日も風のない日も電気を生み出す。(参考記事:「ナショジオが伝えた原子力時代の幕開け」)
現在、1年間の発電量のうち、原子力発電が占める割合は世界で約11%、米国では20%となっている。原発推進派は、化石燃料による火力発電とすぐに置き換えられ、同時にますます増えるエネルギー需要を満たせる発電方法は原子力発電だけだと信じている。
しかし、原子力発電を行えば放射性廃棄物が出る。その根本的な解決策は原発の開始から数十年たった今も見つからず、相変わらず悩みの種だ。
米国には2018年12月の時点で30州に60カ所の原子力発電所があるが、その大半が使用済み核燃料を敷地内で貯蔵していて、汚染と漏洩のリスクを国内各地に広げている。そのため1987年には連邦政府が、ネバダ州ラスベガスから北に約160kmのユッカマウンテンを放射性廃棄物の最終処分場にするよう提案した。
しかし、ネバダ州内の抵抗が続いて処分場の開発は遅れに遅れ、オバマ政権は2009年にプロジェクトの中止を決めた。
だが今、貯蔵施設の候補地として新たに1つの場所が浮上している。使用済み核燃料の管理を専門に行うホルテック・インターナショナル社が、12万トンの放射性廃棄物を(少なくとも当初の予定では)40年間貯蔵する「集中中間貯蔵施設」の用地として、ニューメキシコ州南東部の砂漠地帯の土地約400haを購入したのだ。