野生動物写真家のチェイス・デッカー氏は、ホエールウォッチング中にザトウクジラがアシカをまるごと口にのみ込む衝撃的な場面に遭遇した。
デッカー氏はこのとき、サンクチュアリー・クルージーズが主催するホエールウォッチングのガイドを務めていた。観察していたのは3頭のザトウクジラで、体長15メートルほどの最も大きいクジラが口を開けたとき、偶然「オスのアシカが持ち上げられた」という。
「見た瞬間、これまでに撮影した中で最も貴重な写真の1つだと確信しました」とデッカー氏は話す。「最も美しい写真ではありませんし、最も芸術的な写真でもありませんが、おそらく二度と撮ることのできない1枚です」(参考記事:「ヘビを丸のみにするカエル、衝撃写真の真相」)
毎年夏になると、おなかをすかせたザトウクジラたちが米国カリフォルニア州のモントレー湾にやって来る。目当てはカタクチイワシの群れだ。しかし、カタクチイワシを狙うのはクジラだけではなく、さまざまな捕食者が激しいバトルを繰り広げる。
ただし通常、捕食者たちは互いを避け、アシカはザトウクジラに道を開ける。ザトウクジラが餌を食べるときは、ランジフィーディング(突進採餌)といって、口を大きく開けて突進し、獲物を丸のみする。その後、水を吐き出し、くしのような形をしたクジラヒゲという器官で獲物をこして食べる。(参考記事:「【動画】ザトウクジラが桟橋前で大口開け食事」)
「このパターンはベイトボールの周りで見られます」とデッカー氏は説明する。ベイトボールとは、球状になった小魚の群れだ。「まずクジラが潜り、たいてい、その直後にアシカが(動きます)。そして、アシカが浮上すると、通常、10~30秒後にクジラが続きます」(参考記事:「【動画】サメやクジラも結集!「世界最大の魚群」」)
結果的にアシカとクジラが近づくことは珍しくない。ときには接触することもあるが、今回のような事故はめったに起きない。
おすすめ関連書籍
ナショナル ジオグラフィックが伝える驚天動地の地球の姿。宇宙、人体、怪物、歴史、動物、水中など、幅広いテーマから驚きの事象・奇妙な生き物を紹介。
定価:2,200円(税込)