外来アライグマ、生息適地はもっと広がる 研究

どこでも暮らせるアライグマ、温暖化でさらに北上の可能性

2019.08.01
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アライグマは、この写真のような米テキサス州のサボテンから、北米の針葉樹林、カリブ海のマングローブの森に至るまで、どこでも生きていくことができる。その生息可能域は、世界中の多くの場所で拡大を続けている。(PHOTOGRAPH BY KARINE AIGNER, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 アライグマは北米原産の哺乳類だが、すでに世界のあちこちに暮らしている。環境への適応力が高く、食欲が旺盛なこの動物は、世界各地に持ち込まれて野生化しているのだ。新たな研究によると、気候変動によってその生息可能域はさらに広がるという。(参考記事:「動物大図鑑 アライグマ」

 今回、学術誌「Scientific Reports」に発表された研究では、まず、現状の生息域からアライグマに適した気候条件を抽出。そのうえで、地球温暖化によって生息に適したエリアがどのように変化していくかを推定した。(参考記事:「【動画】史上最高にかわいい? 3匹のアライグマ」

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 そこからわかったのは、アライグマは世界のかなり広い地域で生息可能ということ、そして、生息に適したエリアはかなり北まで拡大しそうだと、今回の論文の筆頭著者で、パリにあるフランス国立自然史博物館の研究員ビビアン・ルッペ氏は述べる。

 ヨーロッパや中央アジア、東アジアの多くの場所で、アライグマはすでに外来種として広がっている。温暖化によって生息域が拡大すれば、在来の生態系に対しさらに大きな被害をもたらすかもしれない。ただし、どのような被害が生じるのかについては、まだよくわかっていない。(参考記事:「地球からの警鐘:日本の外来種」

 アライグマ(学名:Procyon lotor)の生息にもっとも適した場所は、川のそばだ。ドイツ語とイタリア語でも、日本語と同じく「洗うクマ」という意味の名 で呼ばれている。

 アライグマが初めてドイツに持ちこまれたのは、1930年代のこと。その後、西はスペイン、南はイタリア、東はポーランドまでヨーロッパ各地に広がった。日本では、1960年代以降に全国的に広がり、現在では47都道府県のうち少なくとも42都道府県で生息が確認されている。イランとアゼルバイジャンにも、多くのアライグマが生息している。

 日本でアライグマが問題になった一因は、1970年代のテレビアニメ『あらいぐまラスカル』だ。かわいらしいキャラクターが人気となり、一時期は年間1500匹が持ちこまれた。のちにこれは禁止されたが、すでに遅すぎた。アライグマはペットには向いておらず、自然に放されたものも多かった。(参考記事:「風変わりなペットたち」

次ページ:北上する生息可能域

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