「月の南極」初探査へ、インド宇宙開発のねらいは

解説:チャンドラヤーン2号の打ち上げ成功、どこで、何を?

2019.07.26
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バンガロールにあるインド宇宙研究機関(ISRO)本部の実験施設で、チャンドラヤーン2号の着陸機モジュール「ビクラム」を見つめる科学者と職員たち。チャンドラヤーン2号の打ち上げ成功により、インドは月への軟着陸を達成した4番目の国になることを目指している。(PHOTOGRAPH BY KAREN DIAS, BLOOMBERG VIA GETTY IMAGES)
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 7月22日、インドの探査機「チャンドラヤーン2号」が、月へ向けて飛び立った。すべてうまく行けば、着陸機が9月上旬には月面に降り立つ。

 このミッションでインドは、史上初となる月の南極付近への軟着陸を目指す。成功すれば、ロシア、米国、中国に続き、月面に軟着陸を果たす史上4番目の国となる。

 積み込まれた観測機器は、謎の多い月の内部と薄い外気圏に光を当て、月の南極域の化学的性質を解く手がかりを与えてくれるだろう。将来月へ行く宇宙飛行士にとって、南極域は最も魅力的な拠点の1つだ。

 今回の歴史的なミッションで、どんなことが行われるのだろうか。知っておきたい点をまとめた。(参考記事:「アマゾン創業者も参入、月面計画に各国が殺到」

チャンドラヤーン2号とは何か? なぜ重要なのか?

 チャンドラヤーン2号は、インドの国立宇宙機関であるインド宇宙研究機関(ISRO)が月へ送り出した最新の月探査機。2008年に打ち上げられたインド初の月探査機チャンドラヤーン1号に続くものだ。1号は月の周りを回る周回機で、2年の予定だったミッション途中の10カ月で通信が途絶えた。しかし得られたデータは、月表面に水が存在することを示す重要な情報となった。また、インドの科学界への刺激にもなった。

「チャンドラヤーン1号は、この10年でインド国内に実に大きな影響を与えました。私も影響を受けた1人です。計画が始まった後の2009年に博士課程で学び始め、その後7年間はISROの研究員を務めました」。米国にある月惑星研究所(LPI)の研究員で、チャンドラヤーン2号レーダーチームの元メンバー、スリラム・ビラバラス氏はこう話す。「私にとって本当に大きな存在です」

 チャンドラヤーン2号が無事に着陸できれば、ISROは惑星探査計画の連続成功記録を新たに1つ増やすことになる。2014年にはインドの火星周回機「マンガルヤーン」が無事火星に到達したが、これは、最初の試みで火星にたどり着いた初めての記録となった。

 ISROの科学計画は、コストが比較的低いことでも注目される。他の惑星への複雑なミッションは、構築に何十億ドルもの費用がかかるのが普通だ。だが、報じられているチャンドラヤーン2号の予算は1億4400万米ドル(約156億円)と、SF映画「インターステラー」の製作費を下回る額だった。(参考記事:「インドの火星到達、映画製作費より安価」

【参考動画】月入門(解説は英語です)

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