【動画】最大級のホホジロザメ、クジラを食べる

間近で撮影された貴重な光景、大きなお腹は妊娠? 米ハワイ沖

2019.07.23
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 今回の観察事例は、サメの数という意味でも性別という意味でも、まれなものだ。メスのホホジロザメは基本的に、単独生活をしているようだからだ。また、ホホジロザメは何百年も前からハワイに回遊しにくると考えられているが、定住している群れはいないと科学者たちは考えている。(参考記事:「サメが広大な海を回遊できる理由が明らかに」

「私たちが考えているよりももっとたくさんのメスが、実はハワイ諸島の周りにいるのでしょうか?」と疑問を持つのは、米カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のサメ研究所を率いるクリストファー・ロウ氏だ。「もしかしたら私たちが知らないだけで、今回、見る機会に恵まれたというだけなのかもしれません」

 ホホジロザメは最も名を知られたサメでありながら、いまだにわかっていないことも多い。研究が容易でない理由の一つは、彼らが年に何百、何千キロメートルと広く移動し、姿をとらえづらいことだ。

 今回のような事例を記録してゆけば、サメたちがどこで時間を過ごしているかがもっとよくわかり、さらには効果的な保全策につなげられると科学者たちは考えている。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「危急種(vulnerable)」に指定されているホホジロザメは、釣りや漁業での混獲など、多くの脅威にさらされている。(参考記事:「若いホホジロザメの主な死因は漁網、研究成果」

2015年にはメキシコ沖で撮影されて話題に

 灰色の背と白色の腹の間にある線によって個体識別されるディープ・ブルーが前回目撃されたのは2015年。メキシコ、バハ・カリフォルニア州西海岸沖に浮かぶグアダルーペ島の近くだった。このエリアはサメが集まる場所で、太平洋のホホジロザメにとって繁殖場所の一つになっているらしい。米海洋保全科学研究所の生物学者、ニコール・ナズビー・ルーカス氏はそう説明する。グアダルーペ島のホホジロザメを研究する同氏がディープ・ブルーの写真を初めて見たのは、1999年のことだった。(参考記事:「【動画】巨大ホホジロザメ、映像では過去最大級」

 オスのホホジロザメは、1年のうち、7月末または8月初旬からの6カ月ほどを沿岸で過ごす。この間、アシカやアザラシを食べ、また、メスと交尾をすると考えられている。ただ、科学者たちはいまだに実際の交尾を観察できていない。

 その後、2月初旬あたりになるとオスは沖合へ出て、残りの半年を通称ホワイト・シャーク・カフェ、またはソファ(SOFA=Shared Offshore Foraging Area、共有沖合採餌エリア)で過ごす。おおよそ日本の本州と九州を足した広さのこのゾーンは、ハワイとバハ・カリフォルニア州の間の外洋にある。

 一方、ディープ・ブルーをはじめとするメスたちは、やや異なるスケジュールで動いている。15歳ほどでおとなになった後、彼女らは隔年でしか沿岸の繁殖場所に戻らない。妊娠期間が長いからだ。ヒトの40週に対し、ホホジロザメは18カ月もの間、身ごもっていると考えられている。

 この間、メスたちはおおむね北太平洋を広く泳ぎ回り、何か食物がみつかれば食べるという生活をする。クジラの死体は、体の大きなホホジロザメにとって貴重な食料源だ。

「機会があれば食べる、という感じですね」とロウ氏は話す。

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