マサイキリンを絶滅危惧種に指定、IUCN

過去30年でほぼ半減したキリンの亜種、原因は密猟や生息地の減少

2019.07.19
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
マサイキリンの個体数は約3万5000頭と推測され、30年前に比べると、半数近くまで減少している。(PHOTOGRAPH BY SERGIO PITAMITZ, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
[画像のクリックで拡大表示]

 キリンの亜種の一つが絶滅危惧種に指定された。

 野生動植物の保全状況を評価する国際自然保護連合(IUCN)は7月11日、ケニアとタンザニアに分布するキリンの亜種マサイキリンを絶滅危機種(Endangered)に指定すると発表した。主な原因は、密猟と土地利用の変化だ。

 マサイキリンの現在の個体数は推定3万5000頭。30年前に比べると、半数近くまで減少した。アフリカに生息するキリン全体の個体数も、同じ期間に最大40%減少している。

 マサイキリンは象徴的な存在だと話すのは、米国生物多様性センターの国際法務責任者ターニャ・サネリブ氏。キリンのなかで最も個体数の多い亜種であり、キリンと聞いたときに思い浮かべる可能性が高い動物だ。その亜種が絶滅危惧種に指定されたことは1つの警鐘だと、サネリブ氏はとらえている。(参考記事:「【動画】キリンにしがみつくライオン、意外な結末」

「衝撃的なニュースでした……まさに非常ベルのようなものです。このニュースが意味しているのは、あらゆる手段を用い、キリンの国際的な保護活動を強化しなければならないということです」

さまざまな脅威にさらされるキリン

 マサイキリン(Giraffa camelopardalis ssp. tippelskirchi)単独の保全状態が評価されたのは今回が初めてだ。これまではキリン種(Giraffa camelopardalis)として、「絶滅危惧種」より危険度が1ランク低い「危急種(vulnerable)」に指定されていた。キリンは9つの亜種から成り、マサイキリンとアミメキリンが絶滅危惧、ヌビアキリンとコルドファンキリンが絶滅寸前と評価されている。

 ケニアとタンザニアの両国ではキリンの狩猟は違法だが、皮や肉、骨、尾を目当てに密猟が行われている。IUCNによれば、タンザニアのセレンゲティ国立公園では毎年、全個体数の推定2〜10%が違法な狩猟の犠牲になっているという。社会情勢が不安定なことに加え、尾のジュエリーや骨の彫刻など、キリンの体の部位を使った装飾品の市場も生まれており、密猟は以前より増加している。タンザニアの報道機関によると、キリンの骨髄や脳を用いてHIV、AIDSを治療できると信じる人もいるという。(参考記事:「ヤマアラシの密猟が横行、狙いは体内の「石」」

次ページ:「忘れ去られた大型動物」

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    記事が全て読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

100年後も見たい 動物園で会える絶滅危惧動物

ナショナル ジオグラフィックの写真家、ジョエル・サートレイが撮影した美しい動物の写真とともに、動物園で見られる絶滅危惧種40種を紹介。A5サイズ・特製クリアファイル付き!

定価:本体1,400円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加