砂と一体になるツバクロエイの仲間Gymnura altavela。小魚や甲殻類、貝などを狩るために擬態する。(PHOTOGRAPH BY BLICK WINKEL, ALAMY)
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 世界で初めて飼育環境下で生まれた絶滅危惧エイの子どもたちが、このほど初めて公開された。

 このエイは、ツバクロエイ属の一種Gymnura altavela。成長すると幅2メートル以上にもなり、ブラジル南東部をはじめとする大西洋岸の比較的浅い海域に生息している。(参考記事:「ツバクロエイ、透明骨格標本」

 赤ちゃん誕生は2018年8月のこと。南米ブラジルのリオデジャネイロ海洋水族館(アクアリオ)が、3匹のオスと2匹のメス、計5匹の繁殖に成功した。快挙から約1年、現在また新しい命が生まれようとしている。絶滅が危ぶまれているこのエイにとって、非常に明るい知らせだ。今のところ、新たに生まれてくる子どもたちの数はわかっていないが、妊娠期間である半年が過ぎれば、明らかになるはずだ。

 ブラジルでは、このツバクロエイの捕獲や販売は違法であるにもかかわらず、密漁やトロール船による混獲などは後を絶たない。こうした漁業による脅威に環境汚染の影響も加わり、このエイの生息数は減少。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは危急種(vulnerable)に分類されている。なかでも、沿岸漁業が盛んなブラジルでは、絶滅が近いとの報告がある。

快挙を達成するために

 ツバクロエイの子どもたちが初公開されたのは6月下旬、Globoという地元テレビ局が撮影を許可された。海洋生物学者でアクアリオのCEOでもあるマルセロ・シュピルマン氏によると、エイたちは元気に過ごしているという。近いうちに同館の「オーシャン・タンク」と呼ばれる大水槽で一般公開する予定という。

「よく知りもしない生物を保護しようとは思わないでしょう」とシュピルマン氏は言う。「この水族館には、危機に瀕している生物を見てもらうことで、保護の重要性を訴えるという役割があります。保護するためには、その生物について知らなければならないのです」

次ページ:公開された赤ちゃんエイ

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