指が異様に長い太古の鳥を発見、新種、前代未聞

現代の鳥に見られない特徴、恐竜時代に発達した理由は?

2019.07.17
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ミャンマーの琥珀にからむ事情

 エレクトロルニスが入っている琥珀は、中国、騰衝にある琥珀博物館に収蔵されている。エナンティオルニス類のひな鳥を閉じ込めた琥珀も所有する博物館だ。今回記載された新種の種名chenguangiは、この博物館の学芸員の1人、グァン・チェン氏に敬意を表してつけられた。(参考記事:「恐竜時代のひな鳥を発見、驚異の保存状態、琥珀中」

 シン氏によると、チェン氏がこの化石のことを初めて知ったのは2014年。ある鉱山作業員から、変わった動物の足を見せられた。当初、作業員はこの長い足の指を大昔のトカゲだろうと考えていた。現地のトカゲの足に似ていたためだ。だがチェン氏が見てみると、足の指が4本しかなかった。そこで、シン氏に連絡が入った。

「その化石には本当に驚かされました。間違いなく鳥の爪でしたから」

【参考動画】恐竜入門
かつて地球上には1000種以上の恐竜が生息していた。最大の恐竜と最小の恐竜は? 恐竜たちは何を食べ、どのように行動していたのだろうか? 絶滅に関する驚くべき事実とは?(解説は英語です)

 ミャンマー北部カチン州のフーコン渓谷では、少なくとも2000年にわたって琥珀が採掘されている。およそ9900万年前、この地方には樹液を分泌する木が茂った海岸林があった。どろどろした液体はやがて固まり、生態系を構成していたたくさんの生物たちの痕跡を閉じ込めた。これまで見つかったものには、羽毛恐竜や鳥、ヘビ、さまざまな無脊椎動物、さらには陸に打ち上げられた海のアンモナイトまである。(参考記事:「9900万年前のアンモナイトが琥珀に、おそらく初」

 この10年で、ミャンマーの琥珀に保存された化石の発見は爆発的に増えた。それに大きく貢献しているのが、シン氏の働きだ。しかし、ミャンマーの琥珀の研究が活発化するにつれ、この分野での倫理的な監視も強くなっている。数十年にわたり、カチンの少数民族は独立を求めてミャンマー軍と激しく戦っているが、琥珀を含むこの地域の鉱物資源が、紛争の資金援助になっていると伝えられているのだ。

 法的には、化石をミャンマーから無許可で輸出するのは違法だが、琥珀の原石は宝石用原石に分類されるため、中国西部の市場に頻繁に持ち出されている。そこで琥珀はカットされて磨かれ、売買される。研究者、ディーラー、コレクターはこうした市場を歩き回り、科学的価値の大きな発見がないか目を光らせている。中には、貴重な琥珀を求めて年間数十万ドルも費やす者さえいる。科学機関に落ち着く化石もあるが、そうでなければ個人のコレクションとなる。持ち主が琥珀の科学調査に賛同するかどうかは定かではない。

 騰衝にある琥珀博物館は、その中間の存在だ。同館を運営する騰衝市琥珀協会は、大きな琥珀店も2つ経営している。1つはミャンマー、カチン州の州都ミッチーナーにあり、もう1つが中国西部の騰衝市だ。シン氏によれば、学芸員のチェン氏は、特に貴重な琥珀標本を収めた私立博物館を持っているほか、いくつかの琥珀鉱床を自ら所有しているという。

 シン氏は、チェン氏が運営しているような博物館が、個人のコレクションをもっと公にする後押しになってほしいと願っている。上海の霊珀閣琥珀博物館など、他の私設博物館は一般的にあまり知られておらず、外部の科学者も招待がない限り訪れることができない。

「話せば長くなりますが、簡単に言えば、こうした大規模な個人コレクターを正式なものにすることに力を注いでいます」。シン氏はEメールでこう語った。「これは好機なのです」

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文=MICHAEL GRESHKO/訳=高野夏美

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