ゼブラフィッシュの成魚。この小さな魚の神経活動を調べた新たな研究では、人間のレム・ノンレム睡眠と同様のサイクルで眠ることが示唆された。(PHOTOGRAPH BY BLICKWINKEL, ALAMY)
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 眠れぬ夜もあっただろう。だが、科学者たちがこの研究に捧げた10年が、ようやく報われた。小さな魚、ゼブラフィッシュの脳の睡眠パターンを特定し、そのパターンが人間の睡眠中の脳の活動と非常に似ていることを突き止めたのだ。

 7月10日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された論文によると、魚類と哺乳類で同じような睡眠パターンが見つかったことは、共通の祖先における睡眠の進化を解明する手がかりになるかもしれないという。これは、睡眠の生物学的な機能の理解を深めることにもつながる。

「睡眠は、神経科学における大きな謎なのです」とミバエの睡眠を研究する米カリフォルニア大学サンディエゴ校の生物学者ウィリアム・ジョイナー氏は話す。睡眠は何のためにあるのか、その答えを求めて多くの研究が行われてきた。しかし、「本当の意味での正解には、誰もたどり着いていないのです」。なお同氏は、今回の研究には関わっていない。(参考記事:「睡眠の定義とは何か?―「脳波睡眠」という考え方」

レム睡眠とノンレム睡眠

 今回の研究では、ゼブラフィッシュが眠りに落ちるところを観察するために、高度なイメージング技術を用いた。その結果、ゼブラフィッシュの睡眠状態には、人と同様のサイクルがあることを発見した。レム睡眠とノンレム睡眠である。この睡眠パターンはこれまで、哺乳類や鳥類、トカゲなど、さまざまな動物で確認されてきた。だが魚では、今回が初の観察例だ。(参考記事:「ネズミが餌にありつく夢を見る可能性、英研究」

 研究チームによると、魚類と哺乳類の進化の関係を考慮すれば、レム・ノンレム睡眠的な現象が進化したのは4億5000万年以上前に遡るのではないかという。そうだとすると、このタイプの睡眠は生物学的にかなり古くからある現象だということになる。

「共通しているのは背骨があることだけではないのです」と論文の共著者である米スタンフォード大学の神経科学者フィリップ・ムーラン氏は話す。「睡眠とは何か、睡眠中に体内で何が起きているのかを理解する手がかりになります」

次ページ:魚の神経活動を生きたまま観察

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