森の再生で過去100年分のCO2を帳消しにできる

既存の都市や農業に影響なく、CO2の排出削減は必要、最新研究

2019.07.09
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 ほとんどの熱帯林を含め、世界の土地の少なくとも半分を所有しているのは、先住民や地域社会だ。そして先住民の土地保有権が認められている森林では、森林破壊率が他よりもはるかに低い。

「私たちは何世代にもわたり、土地の守護者の役目を果たしてきました。土地を健全な状態に戻す方法もわかっています」と、フィリピンの先住民カンカナイ族の一員で、持続可能な開発のための先住民主要グループの共同議長を務めるジョアン・カーリング氏は話す。

「土地と資源の安全を私たちが確保できれば、破壊的な伐採や採掘、農業関連産業、その他のプロジェクトが起こるのを防げます」と同氏はメールで述べた。

 だが、この安全は多くの地域で脅威にさらされている。最新の報告によると、ブラジルでは新政府の下でアマゾンの熱帯雨林における森林破壊が加速しており、毎分サッカー場の面積と同等の森林が開拓され、失われていることが明らかになった。この6月に失われた森林は、1年前と比べ88%も増加したという。(参考記事:「世界はアマゾンを救えるか、はびこる闇と負の連鎖」

 既存の森林を守り、木を植えようとする国際的な取り組みはある。例えば、2011年にドイツ政府とIUCNの主導により始まった「ボン・チャレンジ」では、2020年までに1億5000万ヘクタール、2030年までに3億5000万ヘクタールの森林を再生することに59カ国が合意している。

 2014年の国連気候サミットの「森林に関するニューヨーク宣言」では、2020年までに森林破壊を半減させ、2030年までに根絶し、広大な荒廃地を回復させると各国が誓った。また、史上最大規模の植樹運動である「1兆本植樹キャンペーン」では、2007年に当時9歳だったドイツ人のフェリックス・フィンクバイナー氏が、ドイツで100万本の木を植える誓いを立てて以降、世界中の学校に通う子どもや地域社会に植樹運動が広がり、すでに136億本の木を植えてきた。

「抜本的な改革を行わなければ、人類の状況は悪化の一途をたどるでしょう」とチャズドン氏は語る。「森林再生は、多くの問題を解決できるのです」

ギャラリー:アマゾン、森の先住民の知られざる日常 写真20点(写真クリックでギャラリーページへ)
ブラジル、アマゾンの先住民アワの女性たち。水浴びをしながらペットのカメを洗っている。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NATIONAL GEOGRAPHIC)

文=STEPHEN LEAHY/訳=牧野建志

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