森の再生で過去100年分のCO2を帳消しにできる

既存の都市や農業に影響なく、CO2の排出削減は必要、最新研究

2019.07.09
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アフリカの森の可能性

 森林を育てるのに、適した土地があるかどうかはひとつの要素にすぎない。炭素を吸収する能力にとどまらず、森林という存在自体がはるかに重要だ。例えば、熱帯林には、全陸生種の90%が生息している、と米コネチカット大学の生態学者ロビン・チャズドン氏は言う。

 地球規模の環境問題は、気候変動だけではない。2019年、100万種の動植物が絶滅の危機に瀕しており、私たちの経済、生計、食の安全、健康、生活の質の基盤そのものが脅かされている、という警告を国連が発表した。

 新たな森を作るには長い時間を要するため、地元の人々や社会にとって、単なる炭素吸収効果をはるかに超える幅広い利益がなければならない、とチャズドン氏は言う。同氏は11人の専門家とともに、高解像度の衛星画像と最新の査読付き論文を調べ、炭素、水、野生生物およびその他の利益について、熱帯雨林における森林再生の費用対効果が高い地域をランク付けした。

 その結果、中南米、アフリカ、東南アジアで、森林再生の効果が高い場所を合計1億ヘクタール以上も特定した。論文は、7月3日付けで学術誌「Science Advances」に発表された。

 森林の再生にとりわけ適した場所は、ルワンダ、ウガンダ、ブルンジ、トーゴ、南スーダン、マダガスカルなどすべてアフリカだった。これらの国で、採算ぎりぎりの農耕地や牧草地の一部で森林を再生すれば、低コストかつ低リスクで種の多様性を守り、地元の人々に十分な経済的支援を伴うさまざまな利益をもたらす絶好の機会になる、とチャズドン氏は説明する。

道は違えど目的は同じ

 牧草地の木を増やす。高木の下でコーヒーやカカオを栽培する「シェードグロウン」を行う。そして、国立公園や保護区の森林緩衝地帯を広げて観光を促進するなど、森林の再生にはさまざまなやり方がある。(参考記事:「コーヒー農園で鳥が危ない、大規模調査で明らかに」

「地元の人々の多くは、このようなことが起きるのを望んでいます。ですが、彼らを巻き込んで、協力してもらわなければなりません。そうしなければ、うまくいかないでしょう」とチャズドン氏は話す。(参考記事:「アフリカの小国ガボンで探る新しいパーム油生産」

次ページ:「森林再生は、多くの問題を解決できる」

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