仏で史上最高45℃、欧州が暑くなっている

過去500年で最も暑かった夏トップ5がこの15年に集中

2019.07.03
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6月26日、涼を求めるパリ市民と観光客が、セーヌ川を挟んでエッフェル塔と向かい合うトロカデロの噴水で遊ぶ。(PHOTOGRAPH BY SAMUEL BOIVIN NURPHOTO/GETTY IMAGES)
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 ヨーロッパが暑くなっている。

 2019年6月はまたもや熱波に襲われ、死者が出る事態となった。フランス、ドイツ、ポーランド、そしてスペインの一部で38℃超を記録し、6月28日には、フランスで観測史上最高となる45.9℃まで気温が上昇した。同じことは昨年も起こっている。記録的な暑さによって、スウェーデンで700人、デンマークで250人以上が亡くなったのだ。気候変動を原因とする異常気象の時代に突入する前には、冷房など不要だった国々である。

 ヨーロッパで過去500年のうち最も暑かった夏のトップ5は、すべてここ15年以内だ(今年は含まない)。いずれにおいても死者が出た。最悪だったのは2003年の熱波で、7万人以上が亡くなっている。2010年には、ロシアだけで5万6000人の死者が出た。(参考記事:「熱波の2010年、史上稀に見る暑さに」

ジェット気流が遅くなって

 米ペンシルベニア州立大学のマイケル・マン氏によると、こうした極端な暑さはジェット気流(西から東へと吹く上層気流の帯)と関係があるという。マン氏は2018年に執筆した論文において、昨夏の北半球における歴史的干ばつ、熱波、山火事、洪水を、ジェット気流の速度低下と関連付けた。今年、インドのモンスーンの雨量が少なかったことや、広く米国中西部で洪水が起こったことも、同様の理由によると考えられている。(参考記事:「夏の異常気象、2100年までに1.5倍に? 最新研究」

「ドイツ、ポツダム気候影響研究所(PIK)の仲間たちも、まさに今ヨーロッパで起こっていることの原因はこれだと立証しています」。マン氏はメールでそう回答する。

 北極では特に温暖化が進行し、海氷が失われるせいで、本来のジェット気流のパターンが変わってしまっている。そう話すのは、オランダ・アムステルダム自由大学およびPIKのディム・カウムー氏だ。ジェット気流は、北極の冷たい空気と熱帯の暑い空気との温度差によって生じる。昨冬、観測史上最も少ない氷量を記録した北極では、この温度差が小さくなり、ジェット気流の速度が低下しているのだ。(参考記事:「北極海の海氷面積、観測史上2番目の小ささに」

参考ギャラリー:2017年7月号「南極 崩壊する氷の大陸」 写真5点(画像クリックでギャラリ―へ)
沈みゆく太陽が、南極半島の西岸沖に位置するルメール海峡を赤く染める。南極大陸を取り巻く海や大気の温暖化が進むにつれ、沿岸部の氷は崩れてきている。 PHOTOGRAPH BY CAMILLE SEAMAN

 緩やかに流れる川のように、遅いジェット気流は蛇行を深め、夏の間、場合によっては数週間にもわたって同じ場所に留まる。熱波であれ、豪雨であれ、気象パターンも共にその場に留まることになる。

 現在、インドでは1カ月にわたって熱波が居座り続け、気温も51℃を記録している。それに比べれば、ヨーロッパの気温は大したことがないかもしれない。だが、ほとんどのヨーロッパ人、特に北部在住者は、30℃を超えるような気温には不慣れである。冷房の存在はいまだに珍しく、例えばフランスでは5%未満、ドイツでは2%未満の家庭にしか冷房は設置されていない。

次ページ:生かされる熱波の教訓

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