恐竜時代、植物食のワニは珍しくなかった、研究

進化の歴史で少なくとも3度、植物食ワニが登場した

2019.07.02
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絶滅したワニ「パカスクス」の想像図。歯の化石の分析により、植物食だったことが明らかになった。(ILLUSTRATION BY JORGE GONZALEZ)
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 絵本でも漫画でも、ワニの口にはいかにも肉食らしいギザギザの歯が並んでいることが多いが、実際はもう少し違うタイプの歯があると、米ユタ大学の古生物学者キーガン・メルストローム氏は言う。

「それでも、絶滅したクロコダイル型類(Crocodyliform)の歯の多様性にはとうてい及びません」と彼は言う。クロコダイル型類は、現代のワニ(アリゲーターやガビアルを含む)や絶滅種を含むワニ類の大きなグループ。「そのなかには非常に変わった歯を持つものもいました」

 このほど、絶滅したワニの仲間16種の歯の化石146本を分析したところ、驚くべき事実が明らかになった。太古のワニは、その進化の歴史の中で少なくとも3回、植物食(草食)になっていたのだ。

 6月27日付けで学術誌「Current Biology」に論文を発表したメルストローム氏は、「これは、植物を食べることが有利な戦略だったことを意味します」と言う。「今後、もっと多くの歯が発見されれば、植物食になったワニのグループももっと見つかることでしょう」(参考記事:「奇妙な新種ワニの化石を発見、雑食だった?」

切り裂く歯と咀嚼する歯

 メルストローム氏と論文共著者のランドル・アーミス氏は、古代の哺乳類の歯を比較するための特殊な手法を借りて分析を行った。

「簡単に言うと、1本の歯に別々の面がいくつあるかを数えるのです」とメルストローム氏は説明する。「1本の歯の中で異なる向きに傾いている面があれば、それを1つと数えます」

 現生哺乳類と爬虫類の研究から、食肉類の歯は、別々の面をほとんど持たない単純な形のものが多いことがわかっている。例えば、捕食動物のコモドオオトカゲの歯は、ステーキナイフのように薄く、鋭く、まっすぐで、ひだはない。このような歯は、獲物を捕まえて、そのままのみ込める程度の大きさの塊に切り裂くのに最適だ。反対に、歯に多くの溝をつけることで表面積を増やし、植物の硬い部分をすりつぶす動物もいる。

「このタイプの歯の持ち主は、ほぼ例外なく植物食です。植物の葉や枝や茎を消化するには、よく噛んでからのみ込む必要があるのです」とメルストローム氏。(参考記事:「史上最大のクロコダイル、新種化石発見」

【参考動画】かわいい赤ちゃんクロコダイル
適応性の高いアメリカワニは瞬膜を利用して水中でもものを見ることができ、陸上と水中の両方で繁栄している。(解説は英語です)

次ページ:進化の過程で植物食へ移行、やがて絶滅

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