絶滅とは何か―実はいろいろある「絶滅」

国際自然保護連合(IUCN)の分類や、専門家がよく使う用語を解説

2019.06.23
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機能的絶滅種

 米カリフォルニア大学バークレー校の保全生物学教授、スティーブ・ベイシンガー氏によると、「機能的絶滅種(Functionally Extinct)」とは、個体数の減少によって生態系の中で機能を果たせなくなった種を指す。(参考記事:「「絶滅」ヨウスコウカワイルカの目撃情報、中国」

 たとえば、アメリカグリ(Castanea Dentata)はかつて北米全土で見られたが、20世紀初頭、ある菌の繁殖によって35億本が枯死した。生き残った本数はごくわずかで、アメリカグリは現在、機能的絶滅となっている。

絶滅種

 IUCNの分類による「絶滅(Extinct)」とは、「世界的に絶滅」していること、あるいは「どこにもいない」ことを意味すると、ベイシンガー氏は言う。絶滅種としての分類は、該当する動物の生息地を時間をかけて入念に調査したうえで行われる。

 かつては米国に多数生息していた色鮮やかなカロライナインコ(Conuropsis carolinensis)は、おそらくは狩猟と生息地の喪失によって数が減り、現在は公式に絶滅に分類されている。コーネル鳥類学研究所によると、カロライナインコは銃声がしても逃げずに傷ついた仲間のもとにとどまったことから、特に標的になりやすかったという。

再発見された絶滅種(ラザロ種)

 ときには、絶滅したと考えられていた種が再び姿をあらわすこともある。多くの場合、特定の種を目当てに人里離れた生息地を調査すると、再発見に至る。

 こうしたいわゆる“ラザロ種(キリストによって復活したラザロにちなむ呼称)”は一般に、通常の生息地で数十年間目撃されず、その後、意外な場所や人口が少ないために見つかりにくい場所で発見されることが多い。

 2010年、IUCNの両生類グループとNGOの「コンサベーション・インターナショナル」は、科学的および美的価値の高い絶滅した両生類10種を探すための計画をスタートさせた。この調査は実際に、パレスチナイロワケガエルなど数種を再発見するという成果を上げている。(参考記事:「絶滅両生類再発見」の状況

 このほか、新たに発見された時点ですでに絶滅の危機にひんしている種もある。

 エクアドルアンデスに生息するマンドゥリアクアマガエルモドキの場合、発見された場所が鉱山だったため、金や銅の鉱脈探査のせいで、生き残りは難しいと見られている。(参考記事:「透明カエルの新種発見 エクアドル金鉱候補地で」

ギャラリー:絶滅の危機から復活しつつある動物 11選(写真クリックでギャラリーページへ)
ギャラリー:絶滅の危機から復活しつつある動物 11選(写真クリックでギャラリーページへ)
クロアシイタチは、イタチの仲間としては数少ない北米原産種のひとつ。長くほっそりとした体をもち、夜にプレーリードッグを狩って食料にしている。1日の9割を、プレーリードッグから奪った地下の巣穴で過ごす。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

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文=LIZ LANGLEY/訳=北村京子

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