エイベル0399とエイベル0401の合成画像。どちらの銀河団もX線(赤)を放射する高温のプラズマに満たされている。プランク衛星が収集したマイクロ波データ(黄色のもや)は、2つの銀河団を結ぶ物質の広がりを示し、電波望遠鏡ネットワークLOFARからのデータ(青)は、このもやと銀河団を構成する個々の銀河から放射される電波の尾根を示している。(DSS (OPTICAL), XMM-NEWTON SATELLITE (X-RAYS), PLANCK SATELLITE (MICROWAVES), LOFAR (RADIO))
[画像をタップでギャラリー表示]

 2つの銀河団を結ぶ「糸」が初めて観測された。

 銀河団は銀河がたくさん集まったもので、それぞれの銀河団どうしは「糸」で結ばれて網のような構造になっていると考えられている。

 6月7日付け学術誌『サイエンス』に発表された論文によると、今回観測されたのは、地球から10億光年の彼方でゆっくり衝突しようとしている2つの銀河団を結ぶ電波の尾根。エイベル0399とエイベル0401という2つの銀河団の間にあるプラズマ流だ。長さは900万光年以上で、宇宙の大規模構造を示す「宇宙の網」の1本の糸をなぞっている。

 天文学者たちはこれまで、網の結び目にあたる銀河団の中を見ることはできたが、銀河団どうしを結ぶ糸を観測するのは容易ではなかった。今回の論文の著者であるイタリア国立天体物理学研究所のフェデリカ・ゴボーニ氏は、「銀河団どうしを結ぶ電波放射が観測されたのはこれが初めてです」と言う。今回の発見は、宇宙の大規模構造を理解するのに役立つ可能性がある。

ほとんど見えない糸

 宇宙は、銀河が集まった銀河団と、銀河団が糸で結ばれた網のような構造、そしてそれらの間にある巨大な超空洞(ボイド)からなると考えられている。天文学者たちはこれまで、主に宇宙の網のビーズにあたる銀河団を観測してきた。(参考記事:「宇宙論の研究室に行ってみた。小松英一郎氏」

 高温のガスと、高密度のダークマターと、輝く星々からなる銀河団は、可視光、赤外線、X線、ガンマ線、電波などあらゆる波長で観測することができる。すでに、エイベル0399とエイベル0401を含む一部の銀河団の中心部では、珍しい電波ハローがとらえられている。

参考ギャラリー:ハッブル望遠鏡 50の傑作画像(画像クリックでギャラリーページへ)
NASA; ESA; F. PARESCE, INAF-IASF, BOLOGNA, ITALY; R. O’CONNELL, UNIVERSITY OF VIRGINIA; WIDE FIELD CAMERA 3 SCIENCE OVERSIGHT COMMITTEE

次ページ:予測より100倍明るかった

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    記事が全て読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

宇宙の真実

地図でたどる時空の旅

宇宙の今が全部わかる!太陽系の惑星から宇宙の果て、さらに別の宇宙まで、どのような構造になっているのか、なぜそのような姿をしているのかを、わかりやすく図解で解き明かす。

定価:本体1,400円+税