中国、パンダ保護のため巨大国立公園を設立へ

分断された多くの保護区をつなぐ大計画、その期待と不安

2019.05.19
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臥龍パンダセンターの敷地内を歩くパンダの親子。(PHOTOGRAPH BY AMI VITALE, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 11年前に中国四川省を襲った巨大地震は、人々にとっての悲劇であったのと同時に、ジャイアントパンダにも被害を及ぼした。野生の生息地やパンダの臥龍(ウォロン)パンダセンターの一部を破壊し、数頭のパンダが死んだ。(参考記事:「中国の地震被災地でパンダ3頭が行方不明」

 現在、中国政府はこの地域に、パンダの名を冠した巨大国立公園をつくろうとしている。

 2019年秋に最終案が決定する予定のジャイアントパンダ国立公園は、2万7133平方キロメートルもの面積になるという。これは、米国イエローストーン国立公園の約3倍の広さだ。

分断された生息地をつなぐ

 国立公園の土地の大部分は、野生パンダの80%以上が暮らす四川省内に位置することになる。多くのエリアは新たに保護されるものではなく、既存のパンダ保護区やその他の自然保護区をつなげる計画だ。

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 2015年に行われた最新の調査では、野生におけるパンダの個体数は、1980年代の1200頭前後から、1864頭(幼少個体を除く)に増えたと報告された。この増加が調査方法の改善によるものなのか、真の個体数増加によるものなのかは不明だが、2016年、国際自然保護連合(IUCN)はパンダの保全状況を「絶滅危惧種(endangered)」から「危急種(vulnerable)」に引き下げた。(参考記事:「パンダ「絶滅危惧種」解除は正当か、専門家に聞く」

 だが、パンダは今も、中国西部の6つの山系の中で、30の個体群に分断された状態で生息している。森林伐採や道路建設、農業、自然災害などの影響で、生息環境は劣化し、個体群はバラバラになっていった。

 個体群によっては、12頭に満たなくなっているものもある。国立公園は、こうした分断されたパンダの生息地を接続し、個体群同士をつなげることを目指している。(参考記事:「史上最古のパンダのDNAを解析、亜熱帯に適応か」

「長い目で見よう、というものです」と、非営利環境保護団体「ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(The Nature Conservancy、TNC)」の中国政策顧問であるボブ・タンジー氏は話す。「概して、パンダの状況は悪くありません。けれど、将来的に必要になるのは、つながっていること、です」

次ページ:つながることの意味は

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