大西洋沖の怪現象に新説、プレートが剥離中?

新たな沈み込み帯誕生の可能性も、ポルトガル沖の大地震から50年越し

2019.05.10
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
海洋プレートが別のプレートの下に沈み込む「沈み込み帯」を描いたイラスト。ポルトガル沖の地質活動の研究で、沈み込み帯誕生の過程が明らかになるかもしれない。(ILLUSTRATION BY NATIONAL GEOGRAPHIC, ART: TOMÁŠ MÜLLER, GRAPHIC EDITORS: MANUEL CANALES, MATTHEW CHWASTYK, RESEARCH: RYAN WILLIAMS)
[画像のクリックで拡大表示]

 大西洋のポルトガル沖で1969年、大きな地震が起こり、津波が発生した。この謎の現象は、ジョアン・ドゥアルテ氏を長年にわたり悩ませてきた。震源地の周辺には、何の変哲もない平らな海底が続いているだけなのだ。こんなところでなぜ地震が起こったのか。ポルトガル、リスボン大学ドン・ルイス研究所の海洋地質学者として、ドゥアルテ氏はこの海底で何が起こっているのかを突き止めようとした。

 そして地震発生から50年後の今年、ようやくその解答にたどり着いたかもしれない。ポルトガル沖のプレートの下層が剥離し始めているようだ、というのが氏の説だ。さらにここは、あるプレートが別のプレートの下に潜り込む、いわゆる沈み込み帯が新たに形成される場所になるかもしれない。ドゥアルテ氏は、この現象を示したコンピューターシミュレーションを、今年4月の欧州地球科学連合(EGU)の学会で発表した。

 もしこれが本当ならば、海洋プレートが剥離しているところをとらえた初の研究になる。地質活動により、将来的に大西洋が縮小し、欧州がカナダに接近するという説があるが、これはその始まりとなりうるだろうか。(参考記事:「2億年後に大西洋消滅の可能性」

「とても興味深い話です」。研究チームの一員ではないが、EGUの発表を聞いたノルウェー、オスロ大学のファビオ・クラメリ氏は言う。また、ドゥアルテ氏の説にはかなり説得力があるものの、シミュレーションのモデルはさらに検証を重ねる必要があるとも語った。指の爪が伸びるほどの速さでしか変化しない自然現象のデータを利用するのは、簡単なことではない。

「かなり大胆な説です」。研究の結論についてドゥアルテ氏はそう述べ、まだやるべきことは多いと認めた。「すべての問題に対する答えではないでしょうけれど、何か新しいものがここにはあると思います」

次ページ:プレートテクトニクス最大の謎

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    記事が全て読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

にわかには信じがたい本当にあったこと

ナショナル ジオグラフィックが伝える驚天動地の地球の姿。宇宙、人体、怪物、歴史、動物、水中など、幅広いテーマから驚きの事象・奇妙な生き物を紹介。

定価:本体2,000円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加