「軍用イルカ」って何? 任務は?

ノルウェーで見つかったシロイルカに不審なハーネス、ロシア軍に所属か

2019.05.12
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ペルシャ湾での演習中、Kドッグという名の訓練されたハンドウイルカが海水から飛び上がる。(Photograph by PETTY OFFICER FIRST CLASS BRIAN AHO, U.S. NAVY)
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 2019年4月、ノルウェーの小さな町の沖合で、シロイルカ(ベルーガ)が漁船に近づき、ロープを引っ張った。このイルカに、人々は疑念を抱いた。英ガーディアン紙によると、そのシロイルカはカメラを装着できるようなハーネスを身に着けており、そこには「サンクトペテルブルクの装備」と刻印されていたというのだ。

 これはクジラ・イルカ類を訓練して作戦に用いる、ロシアの軍事プログラムの一部ではないかと、海洋専門家は示唆している。奇妙に聞こえるかもしれないが、前代未聞の話ではない。

 2017年にロシアの国営テレビ局が報じたところによると、同国はシロイルカやハンドウイルカ、数種のアザラシを使って、海軍基地への入り口を守り、ダイバーを助け、場合によっては領海への侵入者を殺すための実験を行っていたという。しかし、冷たい極地の海で長期間泳ぐことが病気を誘発することが明らかになり、シロイルカはプログラムから外された。(参考記事:「【動画】「イルカ監獄」97頭を解放へ、知事が署名」

 2014年のクリミア危機の際は、ロシア軍がウクライナ軍の「ハンドウイルカ部隊」を接収したとの報道があった。ウクライナの軍用イルカは、水中の機雷や制限水路に入ろうとする好ましくないダイバー、遊泳者を発見して目印を付けるよう訓練されていたと、当時、ロシアの通信社は伝えている。

 米国の海軍も、同様のプログラムを1960年代から続けている。これらの動物は深い海中や濁った水の中で目標を感知し発見する能力があり、今のところ人工の技術ではまねができないため、軍にとってはとても有用なものとなっている。

 米海軍はカリフォルニアアシカ、ハンドウイルカなどの海洋哺乳類を訓練して、海で紛失した装備品を探して回収させたり、制限海域に泳いで入ろうとする侵入者を発見させたりしている。海底に埋められたり、錨でつながれて海中を浮遊していたりする機雷を探知するのにもイルカを利用している。(参考記事:「【動画】ブラジルの漁師手伝うイルカ 独自の文化か」

人間ではかなわない

「機雷探知にかけては、ハンドウイルカはどんな機械より優秀だ」と話すのは、米ハワイ大学の研究所で海洋哺乳類調査プログラムを率いているポール・ナハティガル氏だ。探知の速さも、イルカが機械を大きく上回る。

 ナハティガル氏によれば、イルカの利用が特に効果的なのは海岸近くだという。航行する船に波がぶつかって雑音が多く発生するため、機械によるシステムではいくつもの異なる信号に対処しきれなくなることがあるが、イルカは聞き分けられるのだ。(参考記事:「【動画】「手」つなぎ「名前」呼びあうオスイルカ」

次ページ:紛失物を探し出すアシカも

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