常識覆す奇妙なカニの化石を発見、カニ界に激震

9000万年前の海を活発に泳ぐ? 「カニの定義の見直しを迫るような」新種

2019.04.27
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新たに化石が発見された9000万年前のカニ、Callichimaera perplexaの復元図。史上最も奇妙なカニかもしれない。(ILLUSTRATION BY OKSANA VERNYGORA, UNIVERSITY OF ALBERTA)
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 カニとは何か? カニをカニたらしめるものはいったい何だろうか? 奇妙なカニの化石の発見によって、その答えが簡単ではないことがはっきりした。さらに、大規模な遺伝子研究とあわせ、カニの進化にいま新たな光が当てられようとしている。

 4月24日付けの学術誌「Science Advances」に、現在のコロンビアで発掘された約9000万年前の化石に関する論文が発表された。この場所で発掘された化石の保存状態は素晴らしく、1センチ以下の小さなエビが見つかるほどだ。そんなことは極めて珍しく、熱帯ではこれまでに数カ所しか見つかっていない。

 この場所から、ある奇妙なカニの化石が数十個発見された。それは、これまでに見つかっているどのカニとも似ていなかった。球状の大きな目や、オールのような大きな前脚、脚に似た口器など、今日のカニの幼生と成体の特徴を併せもっている。そのため、「不可解で美しいキメラ(複数の動物からなるギリシャ神話に出てくる動物)」という意味のCallichimaera perplexaと名付けられた。

「まるでカニの世界のカモノハシです」と、今回の論文の筆頭著者で、米エール大学およびカナダ、アルバータ大学の博士研究員であるハビエル・ルケ氏は話す。(参考記事:「カモノハシが太古から変わらない理由」

 この発見により、エビやカニ、ヤドカリなどを含む十脚目が、過去も現在も驚くほど多様であることが改めて示された。現生種だけでも1万5000種を超え、その起源は3億5000万年前から3億7000万年前にさかのぼる。(参考記事:「「生きた化石」カブトガニ なんとクモの仲間だった」

「十脚目では、これまで見たことのない体の構造です。カニの定義の見直しを迫るようなものです」と、十脚目の進化の専門家である米フロリダ国際大学の生物学者ヘザー・ブラッケン=グリソム氏は話す。「ぴったりの名前ですよ」

次ページ:「まるで空を飛ぶイルカです」

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