火星の地震を初観測、なぜ起こる?何がわかる?

M2〜2.5で揺れは10分継続、火星探査機インサイトの最初の成果

2019.04.26
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火星の地震はどうやって起こるのか

 地球の地震は主に、絶え間ないプレート運動によって引き起こされる。地球の表面を覆うプレートどうしが押したり引いたりしている場所にひずみが蓄積すると、ストレスに耐えられなくなった岩盤が急激に破壊され、地震が発生するのだ。(参考記事:「【解説】地球のプレート運動、14.5億年後に終了説」

NASAの火星探査機インサイトは、火星の赤道のすぐ北に広がるエリシウム平原という滑らかな溶岩平野に着陸した。インサイトは99%の確率で青い楕円で囲まれた地域に着陸すると予想されていた。赤い点は実際の着陸地点。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/ASU)
NASAの火星探査機インサイトは、火星の赤道のすぐ北に広がるエリシウム平原という滑らかな溶岩平野に着陸した。インサイトは99%の確率で青い楕円で囲まれた地域に着陸すると予想されていた。赤い点は実際の着陸地点。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/ASU)
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 しかし、火星には地球のようなプレートはないようだ。火星は、長い年月をかけてゆっくり冷えながら収縮している。火星の地震は、そのときに表面が割れることによって起こると考えられている。そのほか、隕石の衝突や、地下深くのマグマの流動によっても発生しうる。

 研究者たちは、火星の地震を利用して、その内部構造を調べたいと考えている。この方法は、超音波を使って体の中を調べるのに似ている。火星の内部で地震波がどのように反射するかを調べることで、内部構造を推定できるのだ。

火星の地震からわかること

 今回の地震のほかにも、まだ確認されていない地震波が3つある。だがどれも、火星の赤い大地の下で起きていることを解き明かすには小さすぎる。とはいえ、これらのシグナルは無意味ではない。

「火星がどんなに活動的か、私たちに教えてくれるからです」とバナート氏は言う。

インサイトは2018年12月19日に火星の表面に地震計を設置、2019年2月4日に風熱シールドをかぶせた。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH)
インサイトは2018年12月19日に火星の表面に地震計を設置、2019年2月4日に風熱シールドをかぶせた。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH)
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 地球の場合、地震の発生頻度と規模(マグニチュード)の間には、グーテンベルク・リヒター則という関係が成り立つことが知られている。これによると、地震のマグニチュードが1小さくなる(放出されるエネルギーが約32分の1になる)ごとに、地震の頻度は約10倍になる。バナート氏によると、月についても同じ近似が当てはまるという。それなら火星でも、小さな地震の頻度を測定することで、大きな地震がどのくらい頻繁に起こりうるかを予想できるかもしれない。

 興味深いことに、火星の地震は約10分も続いた。これもまた、火星の表面を知るための手がかりを与えてくれそうだ。ウェーバー氏は、火星の地震は、地球の地震よりも、アポロ計画で記録された月の地震に似ていると指摘する。(参考記事:「月に「最近の」地殻変動跡を発見」

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