緑のコケに覆われた森を歩き、カナダ、ブリティッシュコロンビア州スコーミッシュ近郊のディークス湖を目指すハイカー。ハイキングにはのどかなイメージがあるが、経験を積んだハイカーでさえ道に迷うことがあり、実際、死者も出ている。捜索救難の専門家によれば、ハイカーにできる最も重要なことは、予定通りに帰宅できなかったときのため、複数の人に旅程を伝えておくことだという。(PHOTOGRAPH BY CHRISTOPHER KIMMEL, AURORA)
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 米カリフォルニア州ハンボルト郡で2019年3月1日、5歳と8歳の姉妹が、自宅近くの森へ散歩に出かけて、行方がわからなくなった。3万平方メートル超ある森に捜索隊が入り、44時間後、ハックルベリーの茂みの下で身を寄せ合う姉妹が発見された。二人の体は冷え切り脱水状態だったが命に別状はなく、無事に救助された。

 Webサイト「SmokyMountains.com」が公表した最新調査によれば、森へのハイキングで危険にさらされるのは、大人のハイカーも同じだ。しかも、遭難する一番の原因は、けがでも悪天候でもなく、道に迷うことだという。 (参考記事:「【動画】サルが助けた? 密林の中を9日間さまよった男性を無事に保護、ボリビア」

 調査では、過去25年間の報道100件以上を分析した。北米の国立公園や荒野をハイキング中の大人がどのように道に迷い、生き延びるために何をして、どのように生還したかを突き止めた。生還するまでの期間は半日から90日まで幅があり、生存者の41%が偶然コースから外れたために遭難していた。また生存者の16%はコースから転げ落ち、道に迷っていた。

 道迷いは誰にでも起こり得る。米グレート・スモーキー山脈国立公園でサバイバルインストラクター、捜索救難隊長、野生生物レンジャーとして働くアンドリュー・へリントン氏によれば、道迷いによる遭難は用心深い熟練のハイカーにも起こり得ることで、一番多いのは分かれ道など道を選ぶ、いわゆる決断ポイントでジャッジを誤ってしまうケースだという。

「コース上の分岐点で起きることもあれば、正式に認められていないコースで起きることもあります。コースが狭いため、案内などの手がかりを見落としてしまいがちなのです」とヘリントン氏は話す。

参考ギャラリー:北極で繰り広げられる壮絶な軍事演習、新たな冷戦の舞台裏(画像クリックでギャラリーへ)
寒冷地サバイバル訓練で、緊急照明弾の使い方を教わる空軍兵士たち。米アラスカ州ブラックラピッズにある米軍の北部戦闘訓練センターで。(PHOTOGRAPH BY LOUIE PALU)

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