20万年前の人類の歯、また正体不明、謎深まる

歯に原人と旧人の特徴が併存、従来の系統樹にあてはまらず、中国

2019.04.04
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中国、貴州省の峡谷が日の光に照らされる。この地域で見つかった歯の化石は、はるか昔にここの洞窟にいた人々が、人類の系統樹の謎多き枝の1つだった可能性を示している。(PHOTOGRAPH BY NOVARC IMAGES/ ALAMY)
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 中国南部、貴州省桐梓(とうし)県の洞窟で見つかった4本の歯は、ずっと科学者たちを悩ませてきた。

 1972年と73年、「岩灰洞」の底にたまった堆積物の中から、研究者たちが約20万年前の歯を発見し、当初はホモ・エレクトスと分類された。直立歩行し、初めてアフリカを出たとされていたヒト族(ホミニン)である。その後の分析で、これはホモ・エレクトスにはぴったり当てはまらないと示唆されたが、それを最後に20年近く進展がないままだった。

 この不思議な歯を、現代の手法を使って再検討した研究結果が学術誌「Journal of Human Evolution」5月号に掲載される。論文によると、新たな分析の結果、古いタイプのいわゆる「原人」に含まれるホモ・エレクトスや、それよりも進化した「旧人」のネアンデルタール人である可能性は除かれたが、謎めいた歯の主はやはり分からなかった。

「不可解です。この歯をどこに位置づけるべきか分かりません」。論文の著者で、北京にある中国科学院古脊椎動物・古人類研究所のソン・シン氏はこう話した。

 4本の歯は、いま知られている人類の進化系統樹の枝のどこにもあてはまらない。現在、こうした発見が中国で増え続けており、この地域で起こった人類の歴史に未知の部分が多いことをうかがわせる。(参考記事:「次の「未知の人類」もアジアから発見される!?」

「私たちはいつも、アフリカを『人類のゆりかご』と考えます」と、論文著者の1人で、スペインの人類進化国立研究センター(CENIEH)所長のマリア・マルティノン=トレス氏は話す。「ですがおそらく、アフリカは人類全体ではなく、私たちホモ・サピエンスという特定の種にとってのゆりかごなのでしょう」。かつて地上を歩いていた人類にはいま知られている以上にもっと多くの種がいて、このところアジアで続いている発見は「全体像の解明に欠かせない」はずだ、とマルティノン=トレス氏は続けた。(参考記事:「ヒトの進化はアフリカ限定だった!」

次ページ:複雑になるばかりの人類史

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