20億年前の火星に大河? 火星史の見直し迫る発見

雨が降っていた可能性も、大河の証拠を複数箇所で確認

2019.04.01
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
NASAの火星探査車「マーズ2020」の着陸予定地、直径約45kmのジェゼロ・クレーターは、かつて湖だったと考えられている。これはNASAの火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された2つの機器による観測データを合成した画像。ここに見える太古の三角州の跡からは、かつて微生物が存在した証拠が見つかることが期待されている。(PHOTOGRAPH BY NASA/ JPL/ JHUAPL/ MSSS/ BROWN UNIVERSITY)

 火星の表面には、失われた水の記憶が残っている。今でも火星には、季節によって染み出してくる塩水や、かろうじて地下に残った湖や、氷の層などの形で水が存在するが、その量はわずかしかない。(参考記事:「【解説】火星の地下に湖を発見、太古の海の痕跡?」

 だが火星の岩がちな赤い表面には、深い谷があり、その近くには干上がった湖底や、扇状地や、滑らかな小石が見られる。これらは過去に大量の水が流れていた証拠だ。(参考:「火星に巨大津波の痕跡見つかる、異論も」

 科学者たちは長年、火星の気候が暖かく湿っていた時期は比較的短かったと考えてきた。しかし、3月27日付けで学術誌「Science Advances」に発表された研究によると、火星に大きな川があった期間が、これまで考えられていたよりずっと長かった可能性があるという。

 新たな分析の結果、太古の火星の川幅は、現在の地球で見られる川幅よりも広かったことがわかった。そのうえ、34億年前から20億年前には火星のあちこちに大河があり、大量の水が流れていたという。従来、この時期の火星は湿潤だった時代の末期で、すでに乾燥化が始まっていたと考えられてきた。

「火星は暖かく湿った気候から冷たく乾燥した気候へと変化した、というのが従来の考え方でした。ですが今回見つかった証拠は、火星の気候の変遷がもっと複雑だった可能性を示しています」。NASA火星気候モデリングセンターのキャスリン・スティークリー氏はそう語る。なお、同氏は今回の研究に参加していない。

次ページ:大きな川が流れるためには

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    記事が全て読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

マーズ 火星移住計画

現実味を帯びてきた火星有人探査・移住プロジェクトの全容を、美しい写真・イラストとともに解説。

定価:本体3,200円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加