東京大都市圏、外国人が見た「欠如」とは

巨大都市を語るなら、東京は避けて通れない

2019.03.29
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東京の表参道を行き交う人々が、建物の鏡に映る。人口3700万人を超す世界最大の大都市圏を形成する東京は、治安の良さや清潔感、活気、先進性でも世界屈指の都市だ。PHOTOGRAPH BY DAVID GUTTENFELDER

 米ハーバード大学の経済学者エドワード・グレイザーによると、都市は人類最高の発明だという。だとすればその最高の実例が東京だろう。人口3700万人を超す世界最大の大都市圏を形成し、世界屈指の豊かさと治安の良さ、創造性を誇る都市だ。

 巨大都市が人間に与える影響にさほど興味がなくても、東京は避けて通れない。なぜなら東京はあなたの生活をすでに変えているから。この都市は絶大な影響力をもつし、世界が日本文化とつながる中継点でもある。

 東京の旺盛な創造力は、過去100年に2度も壊滅的な被害を受けた歴史と切り離せない。最初は1923年の関東大震災、2度目は第2次世界大戦末期の大空襲だ。東京が焼け野原になるたびに、人々は過去を捨てて街の再建を余儀なくされ、新しい街づくりを構想して、交通網、インフラ、さらには社会の在り方まで変えてきた。

 都市計画の重要な論客だった米国の作家ジェイン・ジェイコブズはこう書いている。都市のことを知り、その混沌とした勢いを感じるには、とにかく歩いてみることだと。写真家のデビッド・グッテンフェルダーと私はそれに従うことにした。

 一つの街からまっすぐ隣の街へ移動したり、電車や車で遠くへ行ったり。工業地帯から大学のキャンパス、鉄道駅、市場、霊園、寺院、神社まで、丁寧に訪ね歩いた。「世界最大の」といった最上級の形容詞でよく語られる東京だが、それに気をとられていると見落とすものがある。2人とも日本に住んだことがあるから、そこは承知していた。

多様性の欠如

 ニューヨークのブルックリンからやって来た私にとって、東京を旅するなかでたびたび印象に残ったことの一つが、多様性の欠如だった。東京では外国人住民の数が年々増えており、2018年には20代の東京在住者の10人に1人が外国人だった。韓国・朝鮮系や中国系の住民もかなりいて、そのなかには何世代も前から暮らす人たちも多い。だが、この大都市では、そうした人々もすぐに存在が紛れてしまう。多様性はどのような面にしろ、日本ではデリケートな話題なのだ。

 戦後の日本の急速な復興を可能にしたのは、調和を何よりも重んじ、従順と忠誠と自己犠牲を強く求める「国民の同質性」だと、国内外からよく指摘される。漫画に描かれたサムライのようなもので、日本人はこういうものだと決まりきった考えをもつのは危険だ。それでも一部の日本人は、同質性を神聖で傷つきやすいものと見なし、外国人の流入で薄まったり、損なわれたりすると危惧している。

 2020年のオリンピックは、多様性に向けて加速する格好の理由になっていると東京都知事の小池百合子は話す。期間中は大勢の外国人が来日して、多様性を実感できるだろう。それに遅かれ早かれ東京の人口構成は変わっていく。現状にとどまることは高齢化が許さない。

 小池は言う。「高齢化への対応は最大の課題ですが、それを乗り越えるうえで中心となるのが東京です。困難を跳ね返すのは東京だけでなく、日本人の特徴です。みんな真面目ですから、問題に真剣に取り組むのです」

※ナショナル ジオグラフィック4月号はまるごと1冊「世界の都市」大特集。冒頭の特集「トーキョーを歩く」では、日本のメガシティの奥深い魅力を2人の米国人が歩いて確かめます。

文=ニール・シェイ/ジャーナリスト

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