スペースX新宇宙船、米国が自力の有人飛行へ前進

今回は無人でISSへ、順調なら7月にも実現

2019.03.05
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米国フロリダ州にあるNASAケネディ宇宙センターからの打ち上げを3月2日に控え、「ファルコン9」ロケットの先端に取り付けられたスペースX社の宇宙船「クルードラゴン」。(PHOTOGRAPH BY JOEL KOWSKY/NASA)

 米国のロケット発射台からは、もう8年近くの間、宇宙飛行士が軌道に打ち上げられていない。しかし、この状況はもうすぐ変わるかもしれない。(参考記事:「見守る観衆、アトランティス打ち上げ」

 米国時間の2019年3月2日、スペースX社初のカプセル型有人宇宙船「クルードラゴン」が米国フロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられた。クルードラゴンを搭載したロケット「ファルコン9」は第1段ロケットが再使用可能で、これまでの打ち上げと同様、発射から10分後に地球に戻り、ドローン船(無人船)に着陸した。(参考記事:「スペースXの最新ロケット、ここがスゴイ」

 誤解のないように言っておくが、今回の打ち上げではクルードラゴンに人は乗っていない。これはNASA用語で「デモ1」と呼ばれる実験で、軌道周回中に新しいハードウェアの欠陥を見つけ出したり、システムの動作をテストしたりするために行われているのだ。今回の成功によって、米国は「自力」での有人宇宙飛行の再開に向けて大きな一歩を踏み出したことになる。今後予定されている2回目の試験飛行も順調に進めば、今年7月にもスペースX社初の有人飛行が行われる見込みだ。(参考記事:「前沢氏の月旅行は計画通りに実現するのか?」

「米国の宇宙飛行の歴史における大変重要な成果です」とNASAのジム・ブライデンスタイン長官は発射を伝える放送中に述べている。(参考記事:「億万長者たちの宇宙開発競争 勝つのは誰?」

 クルードラゴンが無事軌道に到着した今、この画期的な出来事について知っておくべきことを解説しよう。

クルードラゴンには人の代わりに何が乗っている?

「リプリー」と名付けられた、人間の形をした実験機器だ。映画『エイリアン』でシガニー・ウィーバーが演じた登場人物の名前にちなんでいる。センサーがついていて、カプセル内の状態を監視しながら、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて旅をする。(参考記事:「息をのむほど美しいISSからの10枚の写真」

 地球の形のぬいぐるみも一緒だ。宇宙船が微小重力に達すると浮き上がってそれを知らせてくれる。乗組員や貨物の重さを想定した大量の「おもり」も載せられている。また、宇宙ステーションで実際に使う約180キロの追加機器や消耗品などが積まれたと、米国惑星協会は伝えている。

ギャラリー:息をのむほど美しいISSからの写真15選
宇宙滞在340日、地球を周回すること5000回以上。米国の宇宙飛行士スコット・ケリー氏が1年にわたる宇宙滞在のなかで撮影した魅惑的な写真たちは、人々の記憶に刻まれることだろう。(PHOTOGRAPH BY SCOTT KELLY, NASA)

次ページ:有人飛行はいつ?

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