【動画】世界最大のハチ、動く姿を撮影、野生で初

生きていた!貴重な「ウォレスの巨大バチ」、インドネシア

2019.02.26
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【動画】世界最大のハチ「ウォレス・ジャイアント・ビー」

 きわめて珍しい世界最大のハチ「ウォレス・ジャイアント・ビー(学名:Megachile pluto)」が2019年1月、インドネシアで見つかった。野生下で生きている個体が、写真と動画に記録されたのは今回が初めて。

 このハチの撮影に成功したのは自然写真家クレイ・ボルト氏らのチーム。見つけたのはメスで、その羽音は「深い、ゆっくりしたうなりで、聞こえると同時に体で感じることもできる音でした」とボルト氏は言う。チームメンバーで米プリンストン大学の生物学者イーライ・ワイマン氏は、「何年も自分の想像の中にしかいなかった生物を実際に見ることができた、信じられない体験でした」と振り返っている。

【ギャラリー】世界の美しいハチ 写真9点(画像クリックでギャラリーページへ)
Andrena perplexaのオス。米メリーランド州で採集。(PHOTOGRAPH BY SAM DROEGE, USGS)

絶滅と考えられていたハチ

 ウォレス・ジャイアント・ビーは大きいもので体長4センチ、翅を広げると幅6.4センチに達し、クワガタムシのような大きなあごを持つ。このあごで木から樹脂をこすり取り、メスが子育てするための巣穴をシロアリの巣の中に作る。食べるのは他のハチ同様、花蜜や花粉だ。(参考記事:「卵みずから毒ガス放ち巣を守る、ハチで発見」

 このハチは、最も見つけにくいハチでもある。最初の記録は1859年、発見したのはダーウィンと同時代に活躍した著名な博物学者アルフレッド・ラッセル・ウォレスだ。

 その後は長らく見つからず、絶滅したと思われていたが、1981年になってアダム・メッサーという昆虫学者がインドネシアの北マルク諸島の3つの島で再発見。標本を採集し、1984年に報告した。そのなかでメッサーは、このハチは生息地でもまれな存在であり、単独で生活し、樹上性のシロアリ塚の中にしかいないため、なかなか見つけられないと記している。(参考記事:「シロアリに「森を守る保険」の役割、実験で解明」

 1991年にもフランスの研究者ロッシュ・デスミエ・デ・シュノン氏が採集したが、このとき写真や映像は撮影されなかった。

 ベルギー、ブリュッセル自由大学でハチの多様性を研究する昆虫学者のニコラス・ベレッケン氏も、この巨大バチに魅せられた研究者の1人だ。10年以上前に、英オックスフォード大学自然史博物館でウォレスが採集した標本に出合ったほか、2018年の初めには、オランダのナチュラリス生物多様性センターで、1991年にデ・シュノン氏が採集した標本にもたまたま巡り合った。

 だが同じ日、ベレッケン氏は、憂うべき出来事にも遭遇した。

次ページ:標本がネットオークションに

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